ここから本文です

米のエルサレム首都認定1年で「パレスチナ軽視」拍車=イスラエル、湾岸諸国に照準

12/7(金) 7:07配信

時事通信

 【エルサレム時事】イスラエルとパレスチナの和平交渉で帰属を決めるとされていたエルサレムについて、トランプ米大統領が「イスラエルの首都」と一方的に認定してから6日で1年。

 イスラエルがパレスチナを軽視し、頭越しにアラブ諸国との関係改善を目指す姿勢が鮮明になっている。歴史的に「パレスチナが(交渉の)中核」と位置付けられてきた中東和平プロセスは、大きく変質しつつある。

 イスラエルは従来、アラブ諸国全体との関係改善にはパレスチナとの交渉進展が不可欠とみなす国際世論に押され、交渉の席に着いてきた。しかし、2017年1月にトランプ大統領が就任した後、米国はエルサレム問題で態度を変えてパレスチナに強い圧力をかける一方、イランを念頭に置いた「対テロ」で湾岸諸国の盟主サウジアラビアに急接近する姿勢を見せた。イスラエルはこの流れに乗った。

 ネタニヤフ・イスラエル首相は10月25日の演説で「われわれはパレスチナ問題を解決すれば広範なアラブ世界との和平の扉が開くと考えてきた。しかし、アラブ世界との関係正常化が結果的にパレスチナとの和解や和平につながるというのが、より真実に近いかもしれない」と訴えた。

 首相はこの発言の直後、外交関係のないオマーンを電撃訪問し、カブース国王と会談した。アラブ諸国で国交のあるエジプト、ヨルダン以外へのイスラエル首相の訪問は極めて異例。イスラエルのメディアでは、首相が次はバーレーンを訪れるとの観測が浮上する。また、イスラエルの複数の閣僚がこのところアラブ首長国連邦(UAE)を相次いで訪問、湾岸諸国に外交攻勢を仕掛けているのは明らかだ。

 ネタニヤフ首相は、トルコでのサウジ記者殺害事件でも、関与が疑われるムハンマド皇太子を事実上擁護する姿勢を取っており、対サウジ関係重視のサインとみられている。

 こうした動きに対し、パレスチナ側は「パレスチナ人の権利を認めないイスラエルと、無償で関係改善を進めるものだ」(主流派ファタハの幹部)と警戒を強める。ただ、和平の主要争点のエルサレムで方針転換した米国の仲介にすがる道は閉ざされており、形勢を変えるのは極めて困難だ。 

最終更新:12/7(金) 7:13
時事通信

あなたにおすすめの記事