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「インスリンの量を減らして」と主治医が毎回言う理由は

12/7(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【患者が語る 糖尿病と一生付き合う法】第22回

 血糖値の過去1~2カ月間の平均値とも呼ばれるヘモグロビンA1cが、僕は6.0前後で、健常者並みであると前に書いた。それは本来、喜ばしいことなのだ。しかし主治医からは毎回、「低すぎる。7.0くらいを目指して」と注意される。

“低いほうが望ましい数値”をもっと高くしろと言われるのは一見矛盾しているようだが、主治医がそう言うのにも理由がある。それだけA1cが低いと、低血糖も頻発しているはずで、それを心配しているのだ。

 その理屈はわかる。高血糖を恐れるあまり、インスリンを打ちすぎて低血糖を起こし、揚げ句、命まで危険にさらすようでは元も子もないからだ。

 でも、現に高血糖と闘っている当事者は僕であって、主治医ではない。言う通りにした結果、合併症を起こしたとしたら、どう責任を取ってくれるつもりなのか。

 高血糖であることは、放射線被曝に似ていると僕は前から思っている。ごくたまに微量の放射線を浴びたところで、人体にはほとんどなんの影響もないが、微量でも日常的に浴びつづければ、やがて臨界点を超え、体に異常が出始めるだろう。それを可能な限り避けようとすることの何がいけないのか。おかげで、診察室で主治医とケンカ寸前になることすらある。僕は主治医にとって、決して「いい患者」ではないのだ。毎回、判で押したように「インスリンの量をもっと減らして」と指示してくる主治医に向かって、かつてこう反論した。

「僕は相当マメに数値を測って、低血糖の兆候があればすぐに対処できているんです。その結果としてのこのA1cなんですよ。しょっちゅう低血糖で倒れているような人と一緒にしないでもらえませんか」

 そこまで言ったら主治医も苦笑して、「あなたがそういうポリシーならまあそれはわかったよ」と言ってくれた。その後も結局、彼は僕に同じことを言い続けているのだけれど。

(平山瑞穂/小説家)

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