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女性の急性心筋梗塞や脳梗塞の死亡数が男性より少ないのはなぜ

12/7(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【中高年女性がかかりやすい病気】

 脂質異常症は大きく3種類。高LDLコレステロール血症(悪玉コレステロール値が高い)、低HDLコレステロール血症(善玉コレステロール値が低い)、高中性脂肪血症(中性脂肪値が高い)の3つです。

 以前は高脂血症と呼ばれていましたが、HDLコレステロールは高めのほうがいいなどの理由から、10年ほど前に名称が変更されました。

 厚労省の国民健康・栄養調査(2018年)の数字を参考にすると、中高年(40~64歳)男性の約15%、女性の約10%が脂質異常症の条件に該当します。

 人数的には男性約320万人、女性約210万人といったところです。したがって脂質異常症は中高年男性に多いといえます。

 一方、厚労省の「患者調査(2016年)」によれば、継続的に治療を受けている中高年は、女性約47万8000人に対し、男性はわずか約26万4000人。女性患者のほうが1.8倍も多くなっています。女性のほうが真面目に医者に通う人が多いからでしょう。

 男性も職場健診などで自分が脂質異常症であることは分かっているのですが、痛くもかゆくもないし、面倒だからわざわざ医者に行く人は限られているのです。

 高脂血症を放っておくと、次第に血管の内側にコレステロールや脂肪がこびりついて、動脈硬化が進むといわれています。それがさらに進むと、血管が詰まりやすくなるため、急性心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。

 急性心筋梗塞の患者は、中高年男性が8000人もいるのに対して、女性はわずか1000人にとどまっています。死亡数でも3684人対660人と、女性のほうが圧倒的に有利な数字が出ています。また脳梗塞に関しては、中高年男性の患者数が約6万4000人に対し、女性は3万4000人。死亡数では男性684人対女性227人となっています。

 つまり脂質異常症がもたらす怖い病気については、かなり大きな男女差がついてしまっているのです。「女性のほうが脂質異常症を放置せず、真面目に治療を受けているからだ」と結論づけるのは短絡的に過ぎますが、われわれ男性も少し見習ってみるほうがいいのかもしれません。

(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)

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