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中距離核全廃条約って何? =米がロシアに破棄「最後通告」

12/7(金) 7:30配信

時事通信

 【ワシントン時事】ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約破棄の方針を示した米政府は、ロシアが60日以内に条約を順守しなければ、定められた義務の履行を停止すると「最後通告」を突き付けた。米国と旧ソ連の緊張を緩和し、欧州の安全保障を支えてきたINF条約が崩壊の危機を迎えている。

 ―INF条約とは。

 1987年に当時のレーガン米大統領とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長との間で調印された核軍縮条約で、射程500~5500キロの地上配備型短・中距離ミサイルを全て撤廃することを定めた。条約では該当ミサイルの発射実験と製造、保有が禁止されるが、研究開発は行える。核だけでなく、通常弾頭を搭載するミサイルも規制対象に含まれる。条約を破棄する場合は、6カ月前に相手側に通告する必要がある。

 ―なぜ破棄するの。

 トランプ大統領は10月下旬の選挙集会で、ロシアが過去何年にもわたって条約に違反してきたことを理由に挙げた。また、条約締結国でない中国が中距離ミサイルを開発・配備していることにも不満を示し、米国だけが条約に縛られている現状は受け入れられないと強調した。

 ―ロシアは違反しているの。

 ほぼ確実に違反しているとの見方が一般的だ。米政府は2014年、ロシアが条約で規制対象の地上配備型巡航ミサイルの実験を行ったと初めて公表した。17年にはロシアが規制対象のミサイルを配備したと批判しており、これらの証拠を欧州の同盟国と共有したとされる。

 ―破棄すればどうなる。

 ロシアは条約に縛られることなく中距離ミサイルを自由に配備できるようになり、欧州諸国に対する脅威が増すことになる。トランプ氏は新たに中距離ミサイルを開発して対抗する可能性を示したが、欧州やアジア太平洋地域で地上配備型ミサイルの配備を受け入れる国は少ない。条約破棄が新たな軍拡競争につながるとの懸念もある。

 ―ほかに選択肢は。

 米国は航空機や艦船から発射するミサイルを保有しており、条約を維持したままロシアや中国に対抗する戦力はある。欧州諸国などと連携し、ロシアに圧力をかけることはできるが、ロシアが再び条約を順守する可能性は低い。ただ、米国が条約破棄に突き進めば、ロシアは条約崩壊の責任は米国にあると主張し、米国に対する風当たりが強まる可能性もある。

最終更新:12/7(金) 7:36
時事通信

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