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在韓米軍への「おもいやり予算」で米韓がぎくしゃく

12/7(金) 13:01配信

ニュースソクラ

韓国側「和解ムード反映を」、米側「戦略兵器の負担を」

 在韓米軍駐留費用の韓国負担分、いわゆる「思いやり予算」をめぐり、米韓両国の対立が続いている。現在の負担額を決めた協定は、この年末に切れる予定で、年内妥結を目指してギリギリの交渉が続いている。しかし北朝鮮をめぐる、両国間の立場の違いも、交渉を難しくしている。

 米軍人や基地の扱いを決めた在韓米軍地位協定(SOFA)は、韓国政府の財政状況を勘案し、韓国側が施設と敷地を無償で提供。米国は在韓米軍の維持に必要な全ての経費を負担すると定めている。

 ただ、両国は在韓米軍駐留経費負担に関する特別協定(SMA)も締結しており、1990年代以降は米国が負担すべき在韓米軍維持費用の一部を韓国が肩代わりしてきた。

 2019年末には、現在の協定が期限切れとなるため新しい協定の締結が必要だが、交渉は進んでいない。

 これは米国側が「作戦支援」という新しい支援項目を求めて来たからだ。米国が核空母と核潜水艦、爆撃機など米戦略武器を朝鮮半島に出動させる際の費用を、韓国に負担させるものだ。

 2018年の韓国側の費用負担額は9602億ウォン(約900億円)だったが、「作戦支援」まで負担すれば、19年には1兆ウォンを遥かに越えると見られている。

 この負担増に、韓国側では反発が広がっている。

 韓国国防省の傘下機関である韓国国防研究院(KIDA)の研究員が、今年5月に国会で開かれた防衛費負担をめぐる討論会に出席してレポートを発表し、大きな反響を呼んだ。

 韓国政府が駐韓米軍駐留費用として、実際は公式額より3倍以上の年間3兆4000億ウォンを負担しており、駐日米軍に対する日本政府の支援より高い水準だという内容だった。

 この報告書は、思いやり予算を再点検した結果、まず毎年着実に投入される「持続的支援費用」として、防衛費負担金の他に、道路工事など基地周辺整備費1兆4542億ウォンなど、計2兆4000億ウォンが直接支援されたとした。

 さらに無償で供与されている土地賃貸料、各種税金免除9589億ウォンが間接支援されたなどとしている。

 また、統一運動で著名な韓国のNGO、「平和と統一を開く人々」の分析によれば、韓米両国国防予算などをこのNGOが独自に分析した結果、2016年基準防衛費負担率は、じつに72.6%だったという。

 ちなみに米軍駐留費の負担額については、米国防総省が直接公表した資料としては「共同防衛に関する同盟国の貢献度報告」(2004年版)しかない。現在は発表されなくなっている。

 これによれば、負担率は日本が50%と高く、韓国42%、米軍基地が多いドイツは、わずか20%となっている。

 南北の和解ムードも、防衛費負担への反発を強めている。軍事演習が凍結され、在韓米軍の縮小、撤退を求める声も出ている中で、駐留経費の負担を減らすべきだとの意見が強まっているのだ。

 今年に入って米韓の担当者は毎月のように負担額をめぐる協議を続けている。しかし、11月の協議も負担総額をめぐって調整が付かず、物別れに終わった。

 このままでは、在韓米軍への負担額が決まらないまま、年明けを迎える可能性も出ている。そうなれば米韓軍事同盟にも、深刻な影響を与えそうだ。

 そんな中、韓国の大手ネットメディア「アジア経済」が11月26日付で、韓国大統領府作成の報告書を独自報道した。

 大統領府の国家安保室が作成した「朝鮮半島および東北アジア情勢評価と展望」と題されたものだ。

 その中には「北朝鮮の核問題をめぐり、韓米両国間の意見の違いが浮かび上がっており、韓国に対する米国の不信と憂慮が増加している」

 「米国は北朝鮮に対して、圧迫と制裁にだけ集中しており、関与する構想を持っていないと判断される」などと米国批判の内容が含まれていた。

 大統領府は「我々が作成した文書ではない」と打ち消しに躍起だが、北朝鮮との交渉に消極的な米国に対して、韓国側の不満が募っているのは間違いない。

■五味洋治 ジャーナリスト
1958年7月26日生まれ。長野県茅野市出身。実家は、標高700メートルの場所にある。現在は埼玉県さいたま市在住。早大卒業後、新聞社から韓国と中国に派遣され、万年情報不足の北朝鮮情勢の取材にのめりこんだ。2012年には、北朝鮮の故金正日総書記の長男正男氏とのインタビューやメールをまとめて本にした。最近は、中国、台湾、香港と関心を広げ、現地にたびたび足を運んでいる。

最終更新:12/7(金) 13:01
ニュースソクラ

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