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スバルの検査不正 国交省の勧告で一区切り

12/7(金) 14:00配信

ニュースソクラ

「 技術のスバル」信頼取り戻せるか

 SUBARU(スバル)が工場から出荷した完成車の検査不正問題は、これで終止符を打つことができるのか。

 石井啓一国土交通相は2018年11月14日、スバルの中村知美社長を国交省に呼び、一連の検査不正について再発防止を求める勧告を行なった。国交省は完成検査の業務を再点検して再発防止策を徹底するようスバルに求め、業務が改善するまで同社を「重点的な監視対象」にするとした。

 「重点的な監視対象」とは、「通常であれば数年に1回の工場への監査の頻度を増やし、文字通り監査を通じて監視の目を光らせることだ」(国交省自動車局)という。スバルに対しては四半期ごとに報告を求める。

 期間は「当分の間」で、数カ月なのか、数年なのかは現時点ではわからない。「再発防止の改善策が定着したと国交省が確認できるまで」(同)という。

 石井国交相は中村社長に「さらなる対応が必要となる場合は厳正に対処する」とも述べ、2018年3月、日産自動車に適用するよう横浜地裁に求めた「過料」などの処分を検討する可能性を示唆した。

 しかし、国交省は今回の勧告をスバルに対する「総括」ととらえている。「改めてスバルに再発防止をしっかりやってくださいと求めたが、今回で一連の問題はいったん総括する」(自動車局)という。「一区切り」だ。

 今回の勧告とは、国交省が自動車メーカーの検査不正を防止するため、道路運送車両法に基づく省令改正(2018年10月施行)で新設したもので、これまで日産やスバルに行なった業務改善指示よりも重い行政指導となる。

 換言すれば、初の重い行政指導を行なった以上、監査の頻度を増やして厳しい監視対象とするが、「製造現場でいい加減な検査がなくなった」と国交省が確認できれば、重点的な監視対象から解き、これ以上の処分などは行なわないということになる。

 もちろん、国交省のさらなる監査の結果、スバルで新たな不正が出たり、業務の改善が認められないとなれば、国交省が2018年3月、道路運送車両法違反(完成検査の一部未実施)の疑いで日産に過料を適用するよう横浜地裁に求めたような処分を行なう可能性はある。しかし、新たな不正などがなければ、スバルは日産が受けたような処分を受けず、今回の勧告のみで正常化を図ることができる。

 問題はスバルの製造現場がこれで本当に正常化を図れるかどうかだ。2017年秋以降、無資格者による完成検査や燃費・排ガスデータの改ざんなどの不正が相次いで発覚したスバルは18年9月、社内の調査結果や再発防止策をまとめた報告書を国交省に提出した。

 これで一連の問題に決着をつけるばずだった。しかし、その後の国交省の立ち入り調査で、「2017年末で正常化を図った」と説明していた不正が2018年10月まで続いていたことが明らかになった。

 スバルの中村社長は石井国交相から勧告を受けた後、記者団に「販売店ではお客様からのキャンセルが一部あり、非常に厳しいコメントもいただいている」と、一連の不正が経営に与える影響を認めた。

 それはそうだろう。技術力で定評があったスバルのイメージは、完成検査の不正で大きくダウンしたのだから。

 ただし、ここでは注意が必要だ。スバルの一連の不正をマスコミは「燃費不正」「データ改ざん」などと報道するが、カタログ燃費をごまかしていた2016年の三菱自動車の不正とは悪質さや技術力のレベルで次元が異なる。

 三菱自は国交省への型式申請の段階で「eKワゴン」など軽4車種のカタログ燃費を実際よりも良く見せるため、意図的に燃費の走行データを改ざんしていた。

 不正発覚後、国交省が燃費を測り直したところ、実際の燃費はカタログより最大約16%悪かった。このため三菱自はユーザーに1台当たり一律10万円の補償金を支払った。三菱自は技術力だけでなく、企業倫理の低さを露呈したわけだ。

 これに対して、スバルの不正とは、飽くまで工場で完成した新車の検査が国交省と約束したルールから逸脱していた、わかりやすく言えば「検査がいい加減だった」というもので、スバルのクルマの設計や本来の品質そのものに問題はない。

 善悪の評価は難しいが、悪質性の軽重はそれとして、技術指向で「スバリスト」と呼ばれる熱狂的なファンに支えられたスバルだけに、ファンの期待を裏切る一連の行為は自殺行為に等しいと言える。

 近年は運転支援システム「アイサイト」などで「先進的な安全・安心」を売り物にしてきたメーカーだけに、本来の技術力を再びアピールするためにも、これ以上、製造現場の「いい加減」は許されない。

最終更新:12/7(金) 14:00
ニュースソクラ

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