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NDBで臨床研究の国際競争力強化を - 有識者会議で参考人がデータ活用環境の整備要請

12/7(金) 18:50配信

医療介護CBニュース

 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は、過去のデータを分析するのみならず、社会構造の変化に伴う病態変化を把握する上で有効。利用環境が整えば、広範囲での臨床分野の研究に活用できる-。厚生労働省が5日に開いた「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」で、上家和子参考人(日本医師会総合政策研究機構主席研究員)はこう報告した。上家参考人は、社会構造の変化に伴い、実際に起こっている病態の変化に応じた研究におけるNDBの有用性を指摘し、研究者がスピード感を持ってこうしたデータを活用できるよう、国に対して支援体制の整備を要請した。【吉木ちひろ】

 上家参考人は、NDBを提供する厚労省の施設「オンサイトリサーチセンター」を試用して、所見を報告した。現在、NDBのデータ提供先は研究者・行政機関などに限定されており、有識者会議で承認される。オンサイトリサーチセンターは、自らセキュリティ環境などを整備することが難しい研究者でもデータ利用が可能な施設として、東京大と京都大で試行運用されている。

 有識者会議の審査を経て利用できるデータは、NDBを基にした集計表情報(公開情報)と比較して自由度が高く、研究の目的に合わせて活用できる。上家参考人らによる慢性硬膜下血腫の発生状況と使用医薬品との関係などを探った研究によると、NDBに格納されているレセプト病名と診断には大きな乖離があったという。上家参考人は、NDBのレセプト病名からは病気の発生状況を得ることは難しいが、実際の手術などの診療行為から患者数が割り出せることを報告。この点から「臨床研究の分野では、EBM(Evidence-Based Medicine)研究からReal World Data解析へ重心が移っている中、わが国はこうした観点のデータが多くないことを実感している。超高齢社会下の患者動向を知る上でNDBは極めて有用だ」と指摘した。

 その上で、研究にはデータ解析にたけたオンサイトリサーチセンターのスタッフによる付きっきりの支援が必要だったこと、臨床研究のチームにそうした人材を常駐させるのは困難であることから、国による支援体制の整備を求めた。有識者会議で過去に同様の報告をしたのは上家参考人を含めて3人。データを扱う技術を研究チームの外に頼らなければならない状況について、共通して言及していた。

 また、NDBのデータを基に発表されたプログラムは開発者に帰属し、公開されない。この点について、上家参考人は「NDBは国民全体の財産。臨床研究の国際的な競争力を上げるには、研究者にとってもっと使いやすいものにすべき」として、NDBのデータを基にした研究成果として発表されたプログラムを国の帰属として蓄積・共用可能とすることを提案した。
 この日の会議で厚労省側は、データ解析への支援体制について「e-learningが活用できるなどの教育体制を整備し、個別相談にも応じる」と述べるにとどまった。

CBnews

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