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中国に大打撃!米同盟国も“ファーウェイ排除”へ 識者「米国はますます中国に圧力」 日本も危機意識を

12/8(土) 16:56配信

夕刊フジ

 ドナルド・トランプ米政権の、対中強硬路線は継続していた。カナダ司法当局が1日、米当局の要請を受け、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の創業者の娘(同社副会長)を逮捕していたのだ。トランプ大統領は同日開かれた米中首脳会談で、来年1月に予定していた制裁関税の引き上げを「90日延期」したが、この逮捕は「中国の軍事・ハイテク分野での覇権を阻止する」という警告なのか。日本政府も、各府省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器から、ファーウェイと、中興通訊(ZTE)の製品を事実上排除する方針を固めた。米国の同盟国を中心に、世界規模で「中国ハイテク排除」が広がっている。 

 「トランプ氏と、カナダのジャスティン・トルドー首相は不仲とされるが、カナダ当局には米国と同様、ファーウェイへ危機感があり、副会長逮捕に動いたのだろう。まさに『米中経済戦争』の一環だ。米国が今後、ますます中国に圧力をかけ続けるのは、間違いない」

 国際政治学者の藤井厳喜氏は、こう分析した。

 カナダ司法当局は5日、ファーウェイの副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟容疑者を、西部バンクーバーで1日に拘束したことを明らかにした。孟容疑者は、同社の創業者で人民解放軍出身の任正非・最高経営責任者(CEO)の娘である。

 米メディアによると、カナダ司法当局は、米当局の要請に基づき、孟容疑者を拘束した。ロイター通信は6日、「中国華為の米捜査、銀行詐欺疑惑も視野に」とのタイトルで、「米国は、対イラン制裁を逃れようと世界的な銀行システムを使ったとされる件を捜査しており、その一環でCFO(孟容疑者)逮捕に踏み切った」と報じた。

 これに対し、ファーウェイは6日、「国連などの輸出規制や制裁規定を含み、当社が事業を行う国と地域のすべての法規制を順守している」「カナダと米国の法システムが最終的に公正な結論を出すと信じている」とのコメントを出した。

 中国外務省の耿爽副報道局長も同日の記者会見で、「当事者への人権侵害」だとの立場を示し、米国とカナダに「厳正な(抗議の)申し入れ」をし、孟容疑者の釈放を要求したと述べた。

 トランプ氏は1日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたG20(20カ国・地域)首脳会議に合わせて、中国の習近平国家主席と会談した。約2時間半の会談で、来年1月に予定していた対中制裁関税の25%への引き上げを「90日間」先送りした。

 米中貿易戦争に歯止めがかかるとみられた同じ日に、トランプ政権は「ファーウェイ幹部逮捕」という新たな一手を打っていたわけだ。

 米中首脳会談に出席したジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は6日、米公共ラジオ(NPR)に出演し、孟容疑者の逮捕について「(自分は)事前に知っていた」と明かす一方、トランプ氏については「分からない。大統領にすべてを報告するわけではない」と述べた。「トランプ大統領は事前に知らされていなかった」という報道もある。

 カナダ司法省によると、7日に裁判所で孟容疑者に対する審尋が予定されている。米ニューヨークの検察当局も、対イラン制裁違反の容疑で、ファーウェイに対する捜査に着手したという。

 前出の藤井氏は「米中間に再び緊張が走るのは避けられない」と語る。

 トランプ政権は以前から、「中国製の通信機器を通じて、軍事や産業の機密情報やハイテク技術が盗まれる」として、ファーウェイなど中国通信機器大手への警戒心をあらわにしてきた。

 今年8月に成立させた「国防権限法」では、「中国の情報機関とつながりがある」との理由で、米政府機関や取引企業が、ファーウェイとともに、同じ中国の通信機器大手、ZTEの製品を調達することを禁止した。

 背景には、習氏が掲げる国家戦略「中国製造2025」がある。

 中国が外国のハイテク技術を吸収して、2025年までに製造強国になる戦略だが、トランプ政権は「中国の軍事的覇権に拍車をかける」と警戒態勢を強めているのだ。

 こうしたなか、米紙ウォールストリート・ジャーナルは11月22日、トランプ政権が、日本やドイツ、イタリアなどの同盟国に対し、「安全保障上のリスクがある」として、ファーウェイの製品の使用禁止を求める説得工作を始めたと報じた。

 日本国内には、米国の大使館や領事館に加え、多数の米軍基地が存在し、各府省庁や防衛省・自衛隊と連携している。同時に、スマートフォン端末や、Wi-Fiルーター、通信会社の中継基地などの通信インフラなどに、中国の通信機器大手の製品が幅広く入り込んでいる。

 ついに、安倍晋三政権も動き出した。ファーウェイとZTEの製品を政府調達から事実上、排除する方針を固めたのだ。10日にも各府省庁の担当者による会議を開き、確認する。ただ、日中関係に配慮して2社を名指しは避ける。政府関係者が7日、明らかにした。

 こうした動きは、オーストラリアやニュージーランド、英国にも広がりつつある。世界規模で「中国ハイテク排除」の機運が高まりつつある。

 前出の藤井氏は「中国通信機器大手は事実上、中国人民解放軍の傘下にある企業といえる。『日本にも危険が迫っている』との当事者意識を持った方がいい。安倍政権はさらに思い切った措置を講じるべきだ」と警鐘を鳴らしている。

 ■華為技術(ファーウェイ) 中国の通信機器大手で同国最大の民営企業。習近平指導部が推し進める産業政策でのハイテク分野の中心的存在。創業者の任正非・最高経営責任者(CEO)は人民解放軍出身。同社ホームページによると、1987年に広東省深センで設立。世界170カ国・地域で事業を展開し、従業員約18万人を抱える。スマートフォンの世界市場で急速に台頭し、米調査会社IDCによると、2018年7~9月期の出荷台数は韓国サムスン電子に次いで2位。

最終更新:12/8(土) 16:56
夕刊フジ

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