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賃金不払い、労災…兵庫でも 入管法改正 外国人労働者の受け入れ準備不足が懸念

12/8(土) 10:30配信

神戸新聞NEXT

 深刻な人手不足を理由に、この国は外国人労働者の受け入れ拡大に大きくかじを切る。8日未明に成立した入管難民法などの改正案。懸念される課題の一つが、労働環境だ。外国人技能実習生に対する賃金未払いや長時間労働などは兵庫県内も例外ではなく、「研修」名目で強いられる過酷な労働は社会問題になっている。


 昨年3月、香美町の衣料品製造業が最低賃金法違反(賃金不払い)の容疑で書類送検された。2016年7月から3カ月間、中国とカンボジアからの技能実習生6人に総額約170万円の賃金を支払わなかった疑いで、事業主は「他の支払いに回すため、賃金を後回しにした」と容疑を認めたという。

 兵庫労働局によると、技能実習生制度の労働問題を巡り、県内で初めて立件されたのは09年。神戸市北区の縫製会社など4社が、中国人技能実習生8人に割り増し残業代を支払わなかったとして書類送検された。不払い期間は同年1月までの2年間、不払い額は1人当たり220万~250万円に上った。

 こうした例は「氷山の一角」とみられる。神戸市内の日本語学校に通うベトナム人男性(20)は昨年、食品メーカーでアルバイトをしていたが、毎回のように残業を強いられたという。残業分の賃金は出なかったが、「どこに相談していいか分からず、半年後に辞めるまでずっと一人で悩んでいた」と明かす。

 一方で、労災による死傷者数も増えている。厚生労働省によると、全国で労災による死亡と認定された外国人技能実習生は14~16年度の3年間で計22人。その比率は日本全体の労災死比率の2倍を超えている。

 県内では3月、労働安全衛生法違反の疑いで、明石市内の金属製品製造業が書類送検された。17年11月ごろ、工場でクレーンなどを操作する際、高所作業車が転倒して実習生のベトナム人男性ら3人が重傷を負った。適切に危険防止措置を講じなかった疑いがある。

 来年4月の改正法施行を前に、兵庫労働局は「実習生は中小企業で働くことが多い。安全管理を徹底させたい」とする。ただ、文化や生活習慣の違う労働者が増えるのに、準備が整っているとは言い難いのが実情だ。(末永陽子)

■兵庫の企業「現場は頼らざるを得ない」

 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正に、兵庫県内の企業はおおむね歓迎の意向を示す一方、安易な外国人材の活用に否定的な意見も聞かれた。

 尼崎市の機械メーカーは「(求職者の)売り手市場と労働人口減で今後も人集めは難しく、現場は外国人に頼らざるを得なくなる」と法改正を評価。ただ、新設される在留資格の一つは通算5年の期限があり、「帰国すると技術が流出するだけ」と、短期的な受け入れに慎重な姿勢を示した。

 中堅ゼネコンのソネック(高砂市)は昨年1月、工事費の見積もりや現場の安全管理を担うベトナム人を正社員として採用した。現地で求人活動をし、同国で建築や土木を学んだ大卒者を迎え入れた。現在は10人が働く。

 人手不足が深刻な建設業だが、繁忙期だけを穴埋めする人材でなく、管理職にも登用して希望者には定年まで雇用する考え。福島孝一社長は法改正について、「日本人と外国人で待遇の差があると、トラブルにつながりかねない。雇用は国籍に関係なく、人と人との信頼関係が重要」と強調した。(大島光貴、中務庸子)

最終更新:12/8(土) 10:37
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