
「美内すずえトークショー」が、去る12月7日に東京・吉祥寺シアターにて開催された。
【写真】左から女子マンガ研究家の小田真琴、詩人の文月悠光。(メディアギャラリー他7件)
イベントには美内すずえに加え、女子マンガ研究家の小田真琴、詩人の文月悠光が登壇。会場を埋め尽くす満員の観客の中、「ガラスの仮面」の大ファンである小田、文月とともに和気藹々とトークがスタートする。美内は「『ガラスの仮面』の連載を始めて42年。ところどころ休ませていただいているので実質的にはそれほどではないんですけど、長い年月でいろんな方がそれぞれの読み方をしてくださっている。『早く続きが読みたい』というお声が多くて、作者冥利につきるというかありがたいことだと思っています」と挨拶した。
しかし連載が長期になっていることで、美内にはファンからさまざまなメッセージが届くという。「(翻訳版が刊行されている)イタリアの70代の方から『早くマヤと真澄を幸せにしてくれ』『私が生きてるうちに終わらせてくれ』というメールが来ていたんですが、この頃届かなくてドキドキしていて……。日本人のファンからも『私は怒ってる。もっと早く描け』とも。というのも、その方の叔母が『ガラかめ』の大ファンだそうなんですが、危篤だと。『こういうファンがいることも知ってください』とメールがありました。こちらもプロなので文面を読むとそこに真実がこもってるかはわかります。遅れているお詫びに色紙を描いてプレゼントしました。亡くなる寸前に間に合ったそうです。40数年の間に、亡くなられた読者の方がいっぱいいることは知っています。本当に申し訳ないと思っていて」と複雑な心境を明かした。
また美内が子供の頃のエピソードも。「私が小学生の頃は、マンガは悪書だと言われていました。大阪で育ったんですが、家にマンガがある人は持ってきなさいと言われたことがあって。私は当然持っていきませんでしたが、マンガを集めて校庭で燃やされたんです」と“焚書”の記憶を話すと、観客からは「えー!」と驚きの声が上がる。「怖い時代でしょう? それくらいマンガは敵視されていたんです。うちの親はおおらかでしたから、読むことについては何も文句は言いませんでした。ただ、私があんまりにも夢中になって読むもので、それについては怒られましたね。熱中しすぎるからダメ!と」と演技に夢中になって周りが見えなくなる、北島マヤを彷彿とさせる思い出も披露された。「マンガに使っちゃうからお小遣いをあげないと言われて。困ったなーと思ったときに、『そうだ、マンガを買えないなら、自分で描いて自分で読もう!』とひらめきました。それがマンガを描くきっかけ。だから私は自給自足という言葉が大好きなんです」と笑う。
今回のトークイベントが吉祥寺で開催されていることにちなみ、美内は吉祥寺とのつながりにも言及。「27歳くらいのときに吉祥寺に引っ越してきました。その前は千葉で、その前は西荻窪にいて。千葉の当時住んでいた場所はかなり辺鄙でして、周りに食べ物屋さんもスーパーもなくて、すぐに飢えましてね(笑)。2カ月で5キロ痩せました。描いて夢中になると、食べるのを忘れたりするし、食べ物がないと我慢しちゃう。それから大家さんが千葉のその家に戻ってくるということで、編集者が勧めてくれた吉祥寺に引っ越しました。いざ住んでみると、非常に魅力的。井之頭公園はあるわ、サンロード(商店街)はあるわ、デパートも当時はたくさんあったし、新宿にも渋谷にも出やすくて。もう38年も住んでいます」と吉祥寺愛を語る。「アイデアに詰まると井之頭公園をウロウロして。『ガラスの仮面』の野外ステージのエピソードも、吉祥寺の影響を受けてます」「吉祥寺が面白いから、1話完結で30ページくらいの『吉祥寺物語』というマンガを考えたこともあるんです。ネタもたくさん書いて。友人の弟がカメラマンになったばかりだったので、バイト代を出して資料として吉祥寺を撮ってくれとお願いしました。でも街のほうがあっという間に変わって、もう写真はマンガの資料としては全然使えませんね。いずれ落ち着いたら、それもショートストーリーとして描きたいと思っています」と、吉祥寺にまつわる話題を明かした。
小田から「編集者は美内さんを探して、吉祥寺の喫茶店を彷徨うというのが恒例行事だったみたいですね」と水を向けられると、美内も「最近はアイデアを練りに行く喫茶店が減ったものですから、そんなに苦労してないと思いますが」と笑った後、アイデアを練るにふさわしい喫茶店の条件を次々と挙げる。「まず演歌のかかってない喫茶店。日本語の歌だと頭に入ってきちゃってダメなので。日本語じゃなければロックでもポップスでもいいんですけど、一番考えやすいのはクラシックとジャズ。それから机の高さとイスのバランス。変な姿勢になると、ずっといられないんですよ。あと暗いと目が疲れるので、適度な明かりがあるところ。それにある程度の広さがあるといいですね。狭いとジロジロ見られているような気がして。昔はそういう喫茶店がけっこうあって、せっせと通ってたんですが潰れちゃってね。長時間いさせてもらったから、注文もかなりしまして当時としては考えられないくらい喫茶店代を使いました」と述べた。
マンガ家が多く住んでいることでも知られる吉祥寺。美内は「夜中にファミレスで仕事をしていると、血相変えた男たちが『逃げられた』って話してて。江口寿史さんの編集者でした(笑)。またのがみけいさん、楳図かずおさんとも遊びましたし、いしかわじゅんさんとも会ったり」と吉祥寺に関連する作家たちの名前を挙げ、交流を振り返った。
最近読んだマンガについて問われた美内は、「最近ちょっと読むのをサボってるんですが、『俺物語!!』は笑い転げましたし、『ちはやふる』はスポ根要素に惹かれて。2作とも大好きで、必死に読んでて『いかん、私も早くマンガ描かなきゃ!』となります(笑)」と回答。また美内の公式サイト「オリーブの葉っぱ」では、「ガラスの仮面」の各キャラクターがファンからの質問に答える「インタビューコーナー」が存在していることが紹介された。マヤの付き人だった乙部のりえや、「女海賊ビアンカ」の脚本を担当した吉沢ひろしといった、出番の少ないキャラクターのその後もわかるので、気になる人はのぞいてみよう。
来場者からの質問コーナーでは、「ガラスの仮面」42巻で突如登場した携帯電話の話題に。「ケータイが登場したとき、批判は予想していました。最初は黒電話で、途中から白っぽい電話になり。外でかける電話も最初は10円玉を入れて、テレカを入れて、そのうちケータイが流行り始めて、困ったなと。テレカを使ったりしているのを、若い子が理解できなくなる時代が来る。だからどうしてもケータイを出さなきゃいかん、と。いろんなご意見をもらったんですが、ただ『この批判は一時的なもの。あと10年も経ったらケータイも古くなる』と思って、開き直って出しました」と真意を明かした。
ファンが待ち望んでいる、「ガラスの仮面」の続きについても語った。「どう表現したらいいのかと思ってる部分があって。単行本を読んでくれた方はご存知だと思いますが、作中で紅天女が災害について語るところがあるんです。日照りが続いたり、悪いことが起こったりするのは、人間の悪しき想念が引き出していると。これ以上人間をのさばらせたくない、山から火を噴き、大地を揺らし、大津波を持って人を滅ぼす、という意味のセリフを書いたんです。その後に阪神・淡路大震災が起きてびっくりして、それから地震が何度もあり、マンガで描いた紅天女のセリフが現実化しているような印象を受けたんです。東日本大震災があったときは、この作品をこのまま出していいんだろうかと思って。実は、これからもっと激しいセリフが出てくる。マンガにはまだ描いてないんですが、セリフはできてるんです。それが描けなくてですね……」と心境を吐露。「私の親戚や知人も被災してます。(紅天女のセリフで)震災で家族を失った人たちが傷つけるんじゃないかと、このまま描いていいのかと悩んで。セリフを直しちゃおうかと思ったときもありました。ただつらいですが書かなければならないセリフなので、それをマンガ上でどう表現するのか、ずいぶん思案しています」と真摯に語った。
単行本50巻については「単行本は32ページが1折で、それが6折集まって1冊作られています。そのうちの1折は完全にできていて、写植も上がってる。残りはペン入れしなきゃいけないところ、下書きだけのところ、セリフだけのところといろいろありますが、真面目に描いているので待っていてください」と伝えると、来場者も大きな拍手で応え、イベントは終了した。なお、「ガラスの仮面」は11月に電子書籍の配信がスタート。「アマテラス」の電子書籍化も近々アナウンスできるとのこと。
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