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日本社会、一変も=経済成長へ外国人就労拡大

12/8(土) 4:35配信

時事通信

 改正出入国管理法の成立により、外国人向けの新たな在留資格が来年4月に創設される。

 少子高齢化のあおりで深刻化している人手不足を補うため、単純労働を含む分野まで外国人労働者の受け入れを拡大する「歴史的政策転換」(政府関係者)だ。経済成長を継続するために安倍政権が打った思い切った一手は、長期的に多様性の乏しかった日本社会を一変させる可能性もある。

 ◇季節労働も可能
 新在留資格は特定技能1号と同2号の2種類。即戦力となる外国人が対象で、技能レベルは1号が「相当程度の知識または経験を必要とする技能」、2号が「熟練した技能」と定められている。資格を取得するには「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度」の日本語能力も必要だ。

 在留期間は1号が通算5年。春~秋に仕事が集中する農業のような業種では、仕事がない季節に一時帰国し、就労期間のみ算入する運用も認められる。2号は1~5年の在留期間を何度でも更新できるため、永住が事実上可能。配偶者や子どもを母国から呼び寄せて暮らすこともできる。

 対象となるのは、1号が介護業▽ビルクリーニング業▽農業▽漁業▽飲食料品製造業▽外食業▽素形材産業▽産業機械製造業▽電気・電子情報関連産業▽建設業▽造船・舶用工業▽自動車整備業▽航空業▽宿泊業―の14業種。2号は当面、建設業と造船業の2業種に限られる見通しだ。

 ◇事実上の移民政策
 政府が導入を急いだ結果、新制度は全く詳細が詰まっておらず、外国人の受け入れ規模など根幹すら未定だ。政府は1号に限って5年間で最大34万5150人との受け入れ見込み数を示したが、この数字はあくまで「仮置き」。正式には各省が定める「分野別運用方針」で明らかにされる。

 分野別運用方針に盛られる数値の性格もあいまいだ。安倍晋三首相は「5年間は受け入れ数の上限として運用する」と国会で答弁したが、「経済情勢の変化が生じない限り」という条件付きで変動する余地を残している。6年目以降の扱いも説明していない。

 そもそも、対象14業種は所管省庁からの希望がベース。コンビニエンスストアなど受け入れを望む業界は他にもあり、政府は対象業種が将来的に拡大していく可能性を認めている。

 厚生労働省によると、「留学」「技能実習」などの在留資格で働く外国人は2017年10月末で127万8670人。08年の48万6398人の2倍超と急速に増えている。新制度がこうした流れを一層加速するのは間違いなく、「事実上の移民政策」と呼ばれるゆえんだ。

 ◇施行前に国会報告
 生煮えなのは受け入れ規模だけでない。1号取得には日本語試験と技能試験、2号を取るには難度の高い技能試験を突破しなければならないが、各試験の準備状況もまちまちだ。

 日本語能力については各業種で活用できる共通テストを外務省と国際交流基金が準備中。技能試験に関しては自動車整備業のように「筆記と実技で自動車整備士3級相当の技能を確認する」(国土交通省)と定まっている業種もある。ただ、外食業や宿泊業での接客など資格試験のない分野は、いまだ手探り状態だ。

 外国人労働者は社会保障諸制度の対象となるが、受給と負担をどうするかも確定していない。政府・自民党内では公的医療保険制度の乱用を防ぐため、海外在住の家族を制度の対象外とする案が出ているが、検討が続いている。在留期間が限られる外国人に介護保険料などを払わせるのは不平等だとの批判に対し、政府は答えないままだ。

 大島理森衆院議長は、法施行前に政省令を含む制度の全体像を国会に報告するよう政府に要請。首相もこれに応じる意向を示している。政府が年内にまとめる(1)基本方針(2)分野別運用方針(3)日本語教育充実などを盛り込んだ「総合的対応策」―に加え、政省令が国会に提示されるとみられ、議論が再燃するのは確実だ。 

最終更新:12/8(土) 8:49
時事通信

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