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【甲信越ある記】新潟・村上 鮭塩引き道場 サケの里で伝統の味学ぶ

12/9(日) 7:55配信

産経新聞

 県最北端に位置する村上市。秋になると、海の長旅を終えたサケたちが三面(みおもて)川に遡上(そじょう)してくる。この地には、サケを「塩引き」と呼ばれる調理法で塩干しにして大みそかに食す慣習がある。サケ文化を伝える「イヨボヤ会館」(同市塩町)の調理教室「越後村上三ノ丸流鮭塩引き道場」で伝統の味に挑戦した。

 村上地方の方言でサケを意味するイヨボヤ。調理するのはもちろん初めてだが、丸々一匹を見るのも初めてだ。銀色のうろこで覆われた刃物のような魚体。威嚇するような鋭い歯と目。「雄は産卵期が近づくと、顔つきが険しくなるんですよ」。奥村芳人館長(51)が解説した。

 道場では最初に、元市職員の瀬賀功師範(64)が調理を実演。大小2つの包丁であっという間にエラや内臓を取り出し、塩をすり込んでみせた。

 「さあ、始めて」。瀬賀師範の掛け声で調理開始。不安な気持ちとともに、サケが待つまな板の前に立った。生後4年、体重が約4キロもあるサケを持つと、どっしりと重い。表面がヌルヌルしていて、裏返すだけでも一苦労だ。

 まずは下ごしらえ。包丁を立ててヒレと魚体のぬめりを取り、口の中の膜を切る。ここまでは比較的、楽にできたが、次に難関が待ち構えていた。

 エラを取り除くため、サケの喉元近くにある根元を切らなければいけないのに、場所がよく分からない。口を大きく開け、補助スタッフに指さしてもらいながら、なんとか刃を入れた。さらに、エラの横から包丁を入れ、中身を切り取る。血が流れ出し一瞬気分が悪くなるが、気を取り直してザクザクやった。

 そして、最難関。腹を切って内臓を取り出す。村上では武家が“腹切り”を嫌い、一部を残して切り口を2つにするのが習わしともいう。ともあれ、割れた腹に指を入れる。ここでまた血の気が引くかと思いきや、意外に吹っ切れたようで「あ、白子(しらこ)だ」などとつぶやきながら指を動かし、血抜き、洗浄と一気に進めた。

 いよいよ「塩引き鮭」の語源となる塩のすり込み作業だ。サケの重さの10%に当たる400グラムの塩を用意。ヒレ、目玉にこすりつけた後、尾ビレから頭にかけて手の腹ですり込む。うろこに逆らうジョリジョリという感触。塩が身に染みこむ感じが伝わってきた。

 教室での作業はここまで。1週間ほど寝かせた後に水で塩抜きをし、尾ビレの付け根を縄で縛って2、3週間干せば食べ頃だ。

 「村上の寒風がサケのうまみを引き出す。塩引き鮭は皮がおいしいから、全部食べてください」。瀬賀師範が目を細めて教えてくれた。(池田証志)

                   ◇

 ◆越後村上三ノ丸流鮭塩引き道場 村上市塩町13の34。イヨボヤ会館で毎年11月中旬~12月初旬、「塩引き鮭」と呼ばれる伝統的なサケの調理法を教えている(今年は受け付け終了)。午前、午後の各回2時間程度。それぞれ20人までの事前予約制。受講料(生鮭代含む)は5600円。仕上げ・宅配には別途4300円。同館の営業時間は午前9時~午後4時半。休館日は12月28日~1月4日。問い合わせは同館(0254・52・7117)。

最終更新:12/9(日) 15:28
産経新聞

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