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「年俸公開やめて」選手の要望

12/8(土) 16:45配信

東スポWeb

【広瀬真徳 球界こぼれ話】「これだけ個人情報が守られる時代に、なぜ野球選手は明かさないといけないのか。選手を辞めて改めて『おかしいな』と思いますよ」
 先日、ある酒席で元パ・リーグ選手がこんな愚痴を漏らしていた。プロ野球のオフの風物詩とも言える年俸の“公開”に納得がいかないというのである。

「自分が明かさなくても球団側が公にすることもある。仮に自分の給料が会社から周囲に暴露されたら一般の人だって嫌ですよね。それと同じことだと思うんですが…」

 プロ野球選手はいつの時代も憧れの存在。サラリーマンが一生かけても手にできない金額を1年で稼ぐ主力もいる。シーズンの活躍に見合った金額を球団から得られたか。逆に「もらい過ぎ」ではないか。ファンあってのプロ野球と考えれば年俸の公表は一概に悪いとは言えないだろう。

 ただ、選手側からしてみれば迷惑極まりない慣例であるのは事実のようだ。例えば年俸の大幅アップが公表されると、周囲から寄付やチャリティーを一方的に要求されることが増えるという。

 冒頭の元選手によれば、過去に年俸が倍増した際、複数の慈善団体から寄付の要請があったようで「アップ分を引き合いに出して突然『社会貢献のために』と言われて驚きました。仲間内でも同じような経験をした選手は多いと聞きます。チャリティー自体は悪いと思いませんが、寄付は自発的に行うものですし、そもそも年俸が明かされなければこうした要請はこないはず。(年俸公表によって)選手側にプラスになることは何一つないですよ」。

 契約更改により減俸が明らかになった選手にも不幸が待ち受ける。一時的とはいえ、給料が減ることが世間に知れ渡ることにより、周囲から冷たい視線を浴びることになるからだ。とりわけ所帯持ちの選手は深刻なようで、あるコーチも自らの現役時代をこう振り返る。

「年俸の公開で一番傷つくのは多分、選手自身ではなく家族。中でも特に子供だと思う。自分も大幅減俸の際、息子が周囲からバカにされたらしく『学校に行きたくない』と泣かれたことがあった。当時は年俸を公表するのが当たり前だと考えていたので、息子には『我慢しろ』と諭したけど、冷静に考えればおかしい。奥さんも年俸減が報じられると、近所の人から変な目で見られたみたいだし。メディアやファンの思いもあるだろうけれど、個人的にはやめてもらいたい。いや、大半の選手がそう思っているはず」

 選手の年俸が「ステータス」ともてはやされた時代はさておき、昨今の日本は個人情報を秘匿する傾向にある。お金持ちを表す象徴だった高額納税者公示制度すら10年以上前の2006年に廃止された。
 今オフも「推定」という注釈付きながら、年俸が次々と明かされている中…選手の多くは球界の慣習に複雑な胸中を抱いている。 

 ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心に、ゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。

最終更新:12/8(土) 16:45
東スポWeb

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