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貴ノ岩「電撃引退」で速攻幕引きの消化不良 懸念される一般社会とのズレ

12/8(土) 16:45配信

東スポWeb

 大相撲の冬巡業中の4日夜に付け人に暴力を振るった幕内貴ノ岩(28=千賀ノ浦)が7日、現役を引退した。この日、貴ノ岩は師匠の千賀ノ浦親方(57=元小結隆三杉)とともに日本相撲協会を訪れ、引退届を提出し、受理された。一連の騒動は事件発生から3日でスピード決着した一方、協会による処分が下される前の決着にスッキリしない印象を残したことも確か。角界が抱える課題が改めて浮き彫りとなった格好だ。

 貴ノ岩は午後1時前に師匠の千賀ノ浦親方とともに国技館に到着。その後に日本相撲協会の八角理事長(55=元横綱北勝海)と面会し、現役引退の意思を伝えた。八角理事長は貴ノ岩に対して再三にわたって「本当に引退という形でいいのか」と意思を確認。本人の決意は固く、最終的に引退が了承された。

 貴ノ岩は午後7時半から東京・台東区の部屋で引退会見を開き「本当に申し訳ございません。弟弟子(貴大将)に手を上げてしまい、大変つらい思いをさせたことを深く反省し、責任を取って現役を引退させていただきます」と表明。元横綱日馬富士(34)から暴行を受けながら、今度は加害者となったことに「自分の気持ちの弱さと、自覚が足りなかった」と反省の弁を述べた。

 昨年の元日馬富士による暴行の被害者が今度は加害者となる衝撃的な事件は、貴ノ岩が自ら辞めることで幕引きを図った格好。しかし、協会による正式な処分を受けないまま角界を去ったことで、消化不良、グレー決着の印象を持った人も少なくないだろう。

 直近の例では、11月場所前に道交法違反で罰金2万円の略式命令を受けた元幕下力士が、協会の処分が下される前に引退し、その後の理事会で処分なしとなった。さかのぼれば、元横綱朝青龍(38)や日馬富士も協会の処分が出る前に引退。その是非は別にして角界内には身を引くことで、それ以上の責任を問わない風潮がある。

 今回の貴ノ岩による引退の申し出を受理した理由について、相撲協会の芝田山広報部長(56=元横綱大乃国)は「協会の意思ではなく、本人の意思ですから。協会としては本人の意思を尊重したということ。協会がそれに対して、何かどうこう言うことはない」と説明。「こういうこと(暴力行為)が起きてしまったということは残念極まりない。再発防止に努めていきたい」と語った。

 日馬富士による傷害事件を契機に、相撲協会が今までにないレベルで暴力根絶に向けた改革に取り組んでいることは間違いない。その一方、貴ノ岩の“処遇”をすぐに承認したことは、退職願が受理されずに懲戒解雇を言い渡される例もある一般社会と大きなズレがあるとも言える。

 また、引退という道を選択し“みそぎ”を済ませるということが、今後の「あしき前例」ともなりかねない。角界が本当の意味で生まれ変わるためには、まだまだ乗り越える課題は多いと言えそうだ。

最終更新:12/8(土) 16:45
東スポWeb

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