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「受け子」無罪2件、最高裁見直しか 検察「中身、被害品と推認」

12/8(土) 11:03配信

毎日新聞

 特殊詐欺の被害者が現金を入れて送った荷物を受け取り、詐欺罪などに問われた「受け子」に対する上告審判決が、11日と14日にそれぞれ最高裁で言い渡される。いずれも2審の結論を変更する際に必要な弁論を開いており、「荷物の中身は知らなかった」との被告の主張を認めて逆転無罪とした2審判決が見直される可能性がある。最高裁では最近、受け子に厳しい司法判断が相次いでおり、2件に対する判断が注目される。

 11日に判決が言い渡されるのは、相模原市の男性被告(44)。1、2審判決によると、マンションの空き室で住民になりすまして荷物を受け取った。1審・鹿児島地裁は1万円の報酬を得ていた点などからだます意図があったと認定して有罪としたが、2審・福岡高裁宮崎支部は「(事件があった2015年)当時は現金入りの荷物を空き室に送らせる詐欺が社会常識になっていたとは言い難い」と指摘し、「中身は現金とは思わず、薬物か拳銃だと思っていた」とする被告の主張を認めて逆転無罪とした。

 14日に判決が言い渡されるのは、千葉県市原市の女性被告(31)。1審は有罪としたが、2審・東京高裁は「何らかの犯罪に関係する可能性が高いと認識していたにとどまる」として無罪とした。

 2件の上告審で検察側は、過去に有罪となった地裁判決などを分析し、受け子が▽指示役から簡単な作業に釣り合わない高額報酬を約束された▽偽名などを用いて本当の送り先を隠した――場合は「中身を詐欺の被害品と考えていることが強く推認される」と指摘。両事件も、これに当てはまるため、被告に詐欺の故意性が認められると主張している。

 最高裁は今年3月、共犯者が被害者に現金を用意するよう促したが、明確に要求していない段階で荷物を受け取りに行った愛知県の男(22)について詐欺未遂罪が成立すると判断。昨年12月には、警察の「だまされたふり作戦」で荷物を受け取った兵庫県の男(37)に同罪が成立すると認めるなど、相次いで受け子に対する厳しい判断を示している。

 元東京高裁部総括判事の門野博弁護士は「受け子に対して厳しい司法判断が積み重ねられれば、受け子のなり手が減り、特殊詐欺がやりにくくなるという効果は確かにあるだろう」と話す一方、「検察側の主張が裁判所の判断基準として打ち立てられると、独り歩きして立証のハードルを押し下げ、本当に認識がない人が処罰される危険性がある」と慎重な見方も示している。【伊藤直孝】

最終更新:12/8(土) 16:30
毎日新聞

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