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日ロ交渉本格化へ=枠組み決定、担当に次官級-「領土」なお隔たり〔深層探訪〕

12/8(土) 8:22配信

時事通信

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領による1日(日本時間2日)のアルゼンチンでの首脳会談で、平和条約締結に向けた交渉の枠組みが決まった。それぞれの次官級を担当の特別代表とし、来年前半がヤマ場となる見通しの交渉を本格化させる。ただ、北方領土をめぐる隔たりは大きいまま。日ロ双方の世論や、日本と同盟関係にある米国の動向も交渉の行方に影響しそうだ。

 
 ◇プーチン氏、遅刻せず
 シンガポールでの前回の首脳会談からわずか2週間余り。プーチン氏は再会した首相に「どこで会っても大変うれしく思う」と打ち解けた様子で語り掛けた。「遅刻常習者」のプーチン氏だが、この日の会談は予定時刻前に会場に入り、定刻通りに始まった。

 両首脳の会談は24回目だが、領土問題でロシアとの接点は見えていない。シンガポール会談では1956年の日ソ共同宣言を基礎に条約交渉を加速させることで合意。同宣言は、平和条約締結後に歯舞群島と色丹島の2島を日本側に引き渡すと明記しているが、プーチン氏は2島引き渡し後も主権を保持する姿勢をにじませる。交渉では返還形式や時期が焦点となる。

 国後、択捉両島の扱いはさらに不透明だ。4島の帰属問題を解決して平和条約を締結するというのが日本の基本方針だが、首相は2島先行の姿勢をにじませる。岡田克也元外相は「(従来の方針よりも)後ろに下がったと言われても仕方ない。(首相は)全く説明していない」と懸念を示す。

 歴史認識での対立も残る。日本は4島でロシアによる不法占拠が続いていると主張しているが、プーチン氏はこれまで「ロシアの主権は第2次世界大戦の結果であり、国際法によって確定された」と正当性を強調、今後日本が見解の変更を迫られる可能性もある。

 ◇拿捕事件が影
 ウクライナ艦船がロシア警備艇に拿捕(だほ)された事件も日ロ交渉に影を落とす。国際社会が対ロ非難を強める中、日本だけが融和を進めるのは容易ではない。外務省幹部も交渉への影響は「あり得る」と話しており、首相は1日の会談でプーチン氏に初めて懸念を伝えた。

 ロシア側は引き渡し後に在日米軍基地が設置されることを警戒しており、米側の出方がポイントとなる。ロシアは、2014年のウクライナ危機を受け、日本が欧米の動きに合わせて発動した対ロ制裁の解除を求めるとみられている。米国との板挟みも予想され、首相は難しい判断を迫られそうだ。

 ◇ダブル選くすぶる
 戦後70年以上動かなかった領土問題で成果を挙げれば、首相が来年夏の参院選に合わせて衆院解散・総選挙に打って出るとの見方がある。一方で2島返還にすら道筋を付けられなければ世論の風向きが一気に変わり、参院選で苦戦を強いられる可能性がある。

 プーチン氏は年金支給開始年齢の引き上げを含む年金改革が響き、支持率が急落した。国内基盤は盤石ではなく、日本政府高官は「プーチン氏は領土問題で国民の反発を招くような譲歩は決してしない」と話している。(ブエノスアイレス時事)

最終更新:12/8(土) 8:25
時事通信

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