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「黙っていても受験生が集まる」医学部の問題性 3私大で不正入試

12/8(土) 22:51配信

毎日新聞

 東京医科大(東京都)の不正入試発覚を機に他大学でも不正入試が指摘されている問題で、岩手医科大(岩手県)、金沢医科大(石川県)、福岡大(福岡県)の私立大3校が8日、不適切な合否判定を続けていたと明らかにした。専門家は医学部が他学部に比べ、受験生に対して優位な立場にあることが問題の背景にあるなどと指摘する。

 文部科学省は東京医大の不正入試問題を受け、8月から医学部医学科のある全大学に緊急調査を実施。当初、3校は「不適切な事例はない」と答えていた。「東京医大等入試差別問題当事者と支援者の会」の井戸まさえ共同代表は「不適切の認識があったが、『他大学もやっている』と申告を避けたのではないか」と批判する。

 大学受験情報ウェブサイトを運営する大学通信の安田賢治常務は「他学部で同様の得点操作を聞いたことがない。医学部は最も人気はあるのに定員が少なく、黙っていても受験生が集まる。そのため大学は公正、公平な選抜をするという感覚がまひし、好き勝手に受験生を『チョイスする』というおかしな考えが広がっているのではないか」と推測する。

 NPO法人「医療ガバナンス研究所」の上昌広理事長は、大学と地元病院の関係に着目する。「教授は引退後、(OBが運営する)地元病院に再雇用されるケースが多い。こうしたつながりを維持するために、病院長などから『自分の子どもを入学させてほしい』と依頼があれば、不適切な合否判定が行われる」と指摘した。

 8日の記者会見で、岩手医大は2013年から、募集要項に明示しないまま医学部への編入試験で同大出身者を優遇して合格させたと説明した。歯科医師免許を取得または取得見込みの人が対象で、今年の試験には34人が応募し7人が合格。このうち3人が岩手医大歯学部の出身者だった。また、今年の一般入試の補欠合格者繰り上げで、評価が下位の受験生1人を追加合格させていた。

 金沢医大は18年の医学部特別推薦入試(AO入試)で「北陸3県の高校出身者」「卒業生の子ども」「現役・1浪の受験生」に対し、募集要項に明示しないまま3~10点を加点していた。加点の影響で不合格となった受験生が7、8人おり、19年の入学を希望した場合、入学を認める方針だ。

 福岡大は10年以降の一般入試と推薦入試で、浪人生の得点を現役生より低く抑える得点操作をしていた。高校が作成する調査書の点数で、現役生には最大20点、1浪生には10点を加える得点操作をし、2浪以上は加点の対象としなかった。推薦入試でも同様の操作があった。【佐藤慶、山下俊輔、日向梓】

最終更新:12/9(日) 7:26
毎日新聞

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