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スマホで手軽に肥満予防、食事「かむ」回数を即時告知 青学大研究

12/8(土) 10:00配信

産経新聞

 ■食事「かむ」回数を即時告知

 さまざまな生活習慣病につながる肥満を防ぐため、食事の際、かむ回数を増やして満腹中枢を刺激し、食べ過ぎないようにする方法がある。だが、食事時にかむたびに回数を測っていては、手間がかかって食事を楽しめないかもしれない。実践している人は極めて少数派だ。そこで、かむ回数の計測を、スマートフォンなどで可能にすることを目指す研究が行われている。鍵は「リアルタイムで本人に知らせる」ことにあるという。(山本雅人)

 ◆汎用性が重要

 研究を行っているのは、青山学院大理工学部のロペズ・ギヨーム准教授らのグループだ。骨の振動によって音をつかむ骨伝導のイヤホンマイクを耳に装着。食べ物が口に入り切断する音を認識すると、アプリを入れた本人のスマホへデータが無線送信され、即時に解析し回数が画面に表示される。カウントされるごとに数字が増える様子を食事中に見ることで、「もっと増やそう」といった改善の行動に結びつくという。

 ロペズ准教授がこだわった点が2つある。「リアルタイムで本人が回数を把握できる」ことと、「身に着けても違和感を持たずに済むよう機器を小さくし、機器自体も、かむ回数の計測に特化したものではなく、誰もが使うようなものを利用する」ことだ。

 食事が終わった後に、かむ回数が少ないと知らされても手遅れだ。次の食事の際には、意識から消えてしまっているケースが多い。機器の着用感覚と汎用性の面は、普及するかどうかに大きく影響する。

 ◆20%も増加

 ロペズ准教授らは、20代の男女20人を半数ずつ2群に分け、片方の群にはこのシステムで回数を把握しながら、もう片方にはシステムを使わずふだん通りにそれぞれ2個のおにぎりを食べてもらい、日を変えて両群を入れ替えて実験を行った。その結果、システムを使わなかったときに比べ、かむ回数が平均で20%増加していたという。

 従来、かむ回数の把握については、あごの動きを認識して算出する機器がいくつか出ているが、ロペズ准教授によると「動きの個人差が大きく、会話の動きとの混同など、精度の問題があった」という。切断音に着目したシステムも複数研究されているが、「リアルタイムで本人が把握できるものはほとんど出ていない」。

 今回のシステムについて、実際のかむ回数と表示回数との誤差を調べたところ、93%の精度だった。「例えばバナナなど、柔らかく切断音を拾いにくいものに対する反応を良くし、100%に近づけたい」と課題を挙げた。

 ロペズ准教授らは、手首に着けるスマートウオッチなど、より小型の端末による回数表示の研究も行っているが、スマホでの表示の方が、かむ回数の増加率が大きいとのデータも出ており、「どのような表示方法が一番効果的かを今後探り、3年後をめどに実用化できれば」と話している。

 食事と健康との関係については、摂取カロリー▽栄養バランス▽食事時間(規則性、間食の有無含む)▽食べ方(かむ回数、食べる量)-の問題がある。だが、かむ回数の改善は、測定も含め、その難しさから研究が進んでいなかった。適切な回数についてのデータも少なく、「こういったシステムにより多くのデータを蓄積し、将来、回数のガイドラインができれば」と意気込みを語った。

 ■「満腹」知らせる研究も

 肥満予防の「食べ方」の領域には、食べ過ぎないという「量」の問題もある。ロペズ・ギヨーム准教授らのグループは、かむ回数だけでなく、満腹になった状態を察知し、その場で本人に知らせるシステムも研究している。空腹や食べ過ぎの状態になると自律神経の活動の影響で心拍変動を示す指標の値が大きくなることが知られているが、成人の男性らを対象に行った実験で、本人が「満腹になった」と申告した時点と、空腹と食べ過ぎとの間で指標のグラフが谷底になる時点が一致することを見いだした。「それらを測定できる機能も端末に入れることで、満腹をリアルタイムで本人に知らせ、食べ過ぎを防いでもらえれば」と語る。

最終更新:12/8(土) 10:00
産経新聞

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