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夜間中学に「学びの原点」 東京で全国研究大会

12/8(土) 7:38配信

産経新聞

 戦争や貧困などで義務教育を受けられなかった人たちのために設けられた夜間中学の関係者が集う「全国夜間中学校研究大会」が東京都内で開かれ、生徒の体験発表や教員の研究発表などのほか、夜間中学に詳しい岡田敏之・京都教育大教授が「学びの多様性とこれからの夜間中学」をテーマに記念講演を行った。

 岡田教授は中学校教員を経て、平成27年4月から現職。最初に赴任した京都市内の中学校に夜間学級(夜間学校)が併設されており、ひらがなやアルファベットの一覧表が貼られた教室で高齢者らが真剣に学ぶ姿に「衝撃を受けた」という。「授業中に居眠りしたりする昼間の生徒の『させられている学び』と違い、学びたいから学ぶ夜間中学の生徒たちに教育の原点を見た」と振り返った。

 京都市立洛友中学校の校長も務めた。同中は、昼間部が不登校の生徒たちが学ぶ特例校、夜間部が夜間中学校という、世代や国籍を超えた生徒たちが学ぶ全国唯一の中学校だ。

 岡田教授は、生徒たちの背景には戦争や差別、貧困、いじめやひきこもり、虐待、発達障害などさまざまな要因があると説明。自分をかけがえのない存在と感じる自尊感情や誰かに認められ必要とされる自己有用感を高める取り組みが大切だと指摘し、その一環として、昼間部と夜間部の生徒が美術や家庭科といった実技教科の授業を一緒に行っている事例を紹介。支援する側が学びの多様性を認める必要性を強調した上で、「知らなかったこと、理解できなかったことが分かる、それが学びの原点であり、夜間中学にはその原点がある」と述べた。

 夜間中学は、学齢期に義務教育を受けられなかった人たちの教育を保障する場として昭和20年代初頭に設けられた。平成28年には義務教育機会確保法の成立で不登校などで形式的に中学校を卒業した人たちにも門戸が開かれ、近年は在留外国人の増加を受けて外国人生徒も急増している。現在8都府県(大阪、京都、兵庫、奈良、東京、神奈川、千葉、広島)に31校あり、来春には埼玉県川口市と千葉県松戸市に新設される。文部科学省は各都道府県に最低1校の設置を促している。

最終更新:12/8(土) 7:38
産経新聞

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