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がんと戦う“ベルマーレの仲間”のために。JとFのサポーターが久光重貴応援プロジェクトを発足

12/8(土) 7:02配信

AbemaTIMES

 湘南ベルマーレフットサルクラブに所属する久光重貴は、がんと闘いながらプレーしている。

 2013年にがんが発覚し、医師から「根治は望めない」と告げられた。それでも諦めなかった「湘南の番長」は5年が経過した今も闘病生活と並行してトレーニングに励み、ピッチに立ち続けている。

 そんな彼を支え、いつも見守ってきたベルマーレサポーターたちは、11月から久光の応援プロジェクトを始めた。「同じベルマーレの仲間として何かできることはないか」。サッカーもフットサルも関係なく有志が立ち上がり、治療費をサポートするための応援基金を募ることにしたのだ。

 そこには、選手とサポーターの枠を飛び越えた思いでつながる絆があった。

お互いを支え合うベルマーレファミリー

 がんの発覚は2013年6月のことだった。シーズン前のメディカルチェックで右の鎖骨あたりに影が見つかり、再検査した結果「右上葉肺腺がん」と診断されたのだ。しかし久光は、プレーをやめなかった。

 告知からわずか7カ月後の2014年2月にピッチに戻ってくると、ファンの前で彼の代名詞でもある「魂の込もったプレー」を披露した。その後も闘病は続き、チームメートと同じメニューをこなせないことや、練習に参加できないことも増えた。トップで戦う以上、甘えは許されない。試合出場どころかベンチ入りできないこともあったが、ピッチに立てば、短い時間ながら必ずトップパフォーマンスで走り続けてきた。

 ――あれから5年。

 久光はピッチ内外に多くのものをもたらした。フットサルファンへのがん啓発と小児がん患者を支援するプロジェクト「フットサルリボン」を、同じくがん治療をしながらプレーしていた鈴村拓也と立ち上げたり、がん患者を勇気づけるための小児病棟訪問を欠かさずに行ったり、彼にしかできないことをしてきた。

 自分が一番大変なはずなのに選手としてできることを考え、辛さを周囲に見せることなく行動しピッチに立ち続けるその姿は、すべての人に勇気を与えた。サポーターももちろんそうだった。だから「自分たちに何かできることはないか」と考えるのは自然のことだった。これまでも個人レベルでサポートするファン、サポーターもいたが、もっと大きな活動で支えるために、応援プロジェクトを始めることにしたのだ。

 ベルマーレカラーに「HISA 5」の刺繍が入ったリストバンドをもらえる1口1000円の応援基金で、原価と活動経費を差し引いたすべてのお金が、治療費として久光に渡される。もちろん、久光本人とクラブの了承のもとに始まった企画だが、すでに多くの賛同者を獲得している。11月2日、Shonan BMW スタジアム平塚で行われた明治安田生命J1リーグ第31節の清水エスパルス戦、11月4日にトッケイセキュリティ平塚総合体育館で行われたDUARIG Fリーグ2018/2019 ディビジョン1第20節のペスカドーラ町田戦で、最初に製作した300個のリストバンドはすべて配布された。現在はさらに400個を追加発注して、小田原アリーナで開催されるFリーグのホームゲームを中心に継続して活動を行っていくという。

 この応援基金と並行して、ツイッター上では「#ヒサとともに」をつけ、リストバンドを装着して久光への応援を投稿するプロジェクトもスタートした。まさにJとF、サッカーとフットサルも関係なく、ベルマーレに関わる人たちが中心となって、ただ純粋に“久光のために”と行動しているのだ。

「選手とサポーターの関係だけど、それ以上に同じベルマーレの仲間だから」

 フットサルのベルマーレサポーターの代表・山川太郎氏は、活動の原動力をそう話した。

「サポーターは、ヒサの行動やプレーする姿からめちゃくちゃパワーをもらっています。寄付という形で治療費の足しになればと考えての活動ですが、この話が(Jリーグも含めたサポーターの間で)出たことは自然の流れでした。命の危機があったなかで5年が経ってもトップ選手としてピッチでプレーする姿を見せてくれていることは奇跡のようです。不謹慎かもしれないですが、この奇跡がどこまで続くのかなと。少しでも彼の戦いの力になれたら。これはサポーターやベルマーレに関わるすべての人の気持ちと同じだと思います」

 山川氏がサポーター全員の言葉を代弁したように、この企画の原点にある思いはみんな一緒だろう。

 もちろん、その思いを一番感じているのが久光だ。「5年が経っても自分を気にしてくれることが嬉しい」と本音を明かしたが、彼らのサポートがあるからこそ、久光は戦い続けている。

「Jリーグでも辛い時期を共有し、嬉しいことも経験させてもらいました。フットサルでも同じように辛い時期を経験して、今は少しよくなっているのかなと。ただ、もっとよくするためには(選手として)続けなければいけません。やめてしまえば辛いことも嬉しいことも共有できなくなりますからね」

 自分のプレーを表現することで、思いに応えたい。だから久光は頑張れるのだ。

「選手としては、ピッチ上で表現しなければいけない。応援してくれる人に背中を押してもらっているのに、辛いからといってやめられない。こういう思いにさせてくれたのはサポーターですし、彼らのおかげで前を向いて、強い自分でいようと思えるんです」

 多くのものを背負ってプレーしているのではないか? そう問い掛けると、久光は笑いながらこう答えた。

「“背負っている”んじゃないんです。“支えてもらっている”んです。みんなの力を自分の力に変えて。そして自分の力をみんなの力に変えてもらいたいですね」

 その言葉にハッとする。サポーターは「ヒサのために」とプロジェクトを始め、その支えはもちろん久光の大きな力となっている。と同時に、その思いに応えるためにプレーする久光の姿を見て、サポーターもまた力をもらう。選手だとか、スタッフだとか、サポーターだとか、肩書きは関係なく、みんなが「ベルマーレ」。それがベルマーレファミリーの温かさであり、ともに戦い、一緒に前に進んでいくということだろう。

 ベルマーレの仲間のために。ヒサのために。自分たちのために。この活動は続いていく――。

文・川嶋正隆(SAL編集部)

最終更新:12/8(土) 7:02
AbemaTIMES

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