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復旧一刻も早く 西日本豪雨で決壊のため池 着工これから──業者不足懸念 水なしでは…離農も 広島県東広島市

12/8(土) 7:03配信

日本農業新聞

 西日本豪雨でため池の決壊・損壊が相次いだ広島県で、営農再開に向け農家から早期の復旧を求める声が上がっている。現場では、復旧事業に着工する前の災害査定は進んでいるものの、工事業者の不足などで来春の田植え時期までに復旧の見通しが立っていないため池もある。東広島市のため池は、今も堤体が土砂で削り取られた姿をさらす。ため池の水は営農に欠かせないだけに、自治体も農家も頭を悩ませる。

 広島県のため池は1万9069カ所で兵庫県に次ぐ全国2位。中でも東広島市は県内で最も多い4000カ所以上を有する。西日本豪雨では4カ所が決壊した。

 そのうちの2カ所「横池」「大池」は現在、1メートルほどの土砂で埋まり、水はたまっていない。上流側から「横池」「大池」「乙池」と位置する重ね池で、上流域の山から土石流が流れ込み、三つの池を区切る堤体がえぐり取られた。

 池は上保田乙池水利組合が管理し、受益者は12人で農地面積は3・1ヘクタール。建造は古く、400年近く前の歴史書にも記されている。「昔からため池を使い、米を作ってきた」と話す組合代表の房田弘さん(65)。草刈りなど、受益者が協力して管理してきた。上流からの流木や石は、重ね池のさらに上に位置する別のため池の堤体でせき止められたが、土砂は重ね池を越え、民家や田畑まで及んだ。

 山には流木や石が残り、近隣の田んぼは20センチほどのひび割れた土砂で覆われている。同市は被災したため池など農業用施設の復旧について、受益者負担の費用をゼロにする方針だ。房田さんは「そうした支援がなければやる気を失うところだった」と話す。

 20年ほど前に酪農を廃業した房田さんは、地域の荒廃を防ぐために農地を預かり、再びため池を使って営農を再開したい意向だ。地域の業者と協力して重機で土砂をかき出すなど、自力での農地復旧も検討する。ただ、営農にはため池の水が欠かせない。

 同市志和町では、土砂が流れ込んで小野池からの水路が崩れるなど、5キロにわたり被害を受けた。小野土地改良区の赤部勝彦事務局長によると、豪雨以降、受益者約150戸のうち50戸ほどは、水路から水が引けず収穫できなかった。被害の規模が大きく、砂防ダムの建設などが必要になる見通しのため、市からは「水路や崩れた農地が完全に復旧するまでには3年はかかる」と説明があったという。赤部事務局長は「川から水を引けない地区では、来年はどうにもならない。高齢の農家が多く、中には営農をやめる人も出てきている」と話す。

 赤部事務局長は「ここまでの災害は初めてだが、農家は根気強い。わずかな谷水を使ったり自家消費分だけを作ったりと対応していく」と話す。

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最終更新:12/8(土) 7:03
日本農業新聞

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