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【平成家族】「一緒に食べることはエネルギーの交換」 孤食が広がるからこそ、支持される「共食」の意味

2018/12/8(土) 14:00配信

朝日新聞デジタル

 「おいしいね」「うん」。こんな簡単な会話で気持ちを共有できる。理由なくそこに居場所ができる。単身者の増加や食サービスの多様化で「孤食」が広がる平成時代に、なお支持される「共食」の意味とは。(朝日新聞記者・山内深紗子)

【写真特集】大きな鍋で調理、冷蔵・冷凍庫や並んだ調味料など台所の様子も コモンミールからみる「共食」の風景

「作り手」と「食べる人」がつながる

 ブリの蜂蜜ショウガ焼き、豚のレンジ蒸し、コールスロー、カボチャサラダ、たきたてご飯にみそ汁……。

 10月末の平日午後7時。東京都世田谷区の主婦加賀谷律子さん(58)は8品を食卓に並べ、自宅に主婦や会社員の4人の参加者を迎えた。

 「丁寧で野菜たくさん。すごいですね」と会社員の女性(44)が歓声を上げた。全員が初対面。だが、すぐに打ち解け、台所に入って、みそ汁とごはんを各自よそって食卓を囲んだ。料理のコツから婚活話まで。おしゃべりは尽きなかった。

 デザートの柿と手製のケーキを食べ終わった午後9時過ぎ、みんなで皿洗いをして、解散。「ごちそうさま。本当に楽しかった。ご縁があればまた」と家路についた。

 この場は、「料理をつくる人」と「食べる人」をマッチングさせるサイトでつながった。

「バーのような距離感」のコミュニティーに

 運営するのは「キッチハイク」(台東区)。共同代表の山本雅也さん(33)と藤崎祥見さん(37)が「栄養を取るためだけでなく、食でコミュニティーを作りたい」と2013年に始めた。

 料理する人が日時やレンタルキッチンなどの開催場所を決める。キッチハイクが、2、3品の献立をサイトにアップ。参加者を募り、当日食卓を囲む。首都圏を中心に月約100件が成立。月のべ600人が参加している。

 国内外で、一般家庭でごはんを食べられるところを探すサービスを展開していた。当初は海外旅行先のニーズが多いと想定していたが、参加者の多くが近所で日常のごはんを楽しんでいることに気づいた。

 そこで16年から海外から国内にサービスを移した。翌年から、日常の地域のごはん会を意識したサービスを始めた。

 作り手の負担を軽くするために大手食材宅配会社と提携。献立や食材を届けるようになった。参加費は約1500円。「職業も知らない人と色々話すバーのような距離感は心地よい。そんな垣根の低い方法で作り手と食べ手を緩やかにつなげたい」と山本さんは話す。

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最終更新:2018/12/8(土) 14:22
朝日新聞デジタル

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