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日本語のロックのパイオニア、PYGが残した唯一のアルバム『PYG!』

12/8(土) 18:00配信

OKMusic

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回ははっぴいえんど、頭脳警察と並ぶ日本語のロックのパイオニア、PYGのデビューアルバム『PYG!』を紹介する。メンバーのバックグラウンドが災いして、当時、正当に評価されなかったPYG。確かに誤解を招きそうなバックグラウンドだが、リリースから40年経った現在では日本のロックの名盤と誰もが認めている。メンバーがそれぞれの道を歩き始めたため、バンドはスタジオ盤とライヴ盤をそれぞれ1枚ずつ残して自然消滅してしまったが、1枚目でこれだけの作品を作れたんだから、もう何枚か作っていたらと思わずにいられない。
※本稿は2014年に掲載

“脱GS”を掲げて本格的なロックを追求するが…

このアルバムがリリースされた当時、PYGはロックファンから総すかんを食ったというんだからちょっと驚きである。GS(グループ・サウンズ)ブーム終焉後、GSブームをリードした人気バンドのメンバーたちが“脱GS”を掲げ、本格的なロックを演奏するため集結したPYGだったが、「大手芸能プロダクション所属のアイドルだ。アイドルが演奏する音楽なんてロックじゃない」と言われなき非難を受けたということらしい。今ではロックのルーツのひとつとして再評価が定着しているGSも当時は、所属プロダクション(あるいはレコード会社か)によって、職業作家が作った曲を与えられているアイドルとしてしか見られていなかった。

“ロック=反体制”という意識も今より強かっただろう。そのアイドルたちが始めた――しかも、GS界で1、2を争う人気バンドだったジュリーことタイガースの沢田研二(ヴォーカル)とショーケンことテンプターズの萩原健一(ヴォーカル)という二大スターが揃ったPYGに対して、ロックファンが牙を剥いたのも、まぁ理解できなくはない。ジュリー、ショーケンともにシンガーとして、あるいは俳優として、日本の若者に大きな影響を与える存在になる以前の話である。当時、自分が10代とか20代とかのロックファンだったら、たぶん同じようなことを言っていたに違いない。

ちなみにPYGの他のメンバーは井上堯之(ギター/元スパイダーズ)、岸部修三(現・一徳 ベース/元タイガース)、大口広司(ドラムス/元テンプターズ)、大野克夫(キーボード/元スパイダース)の4人。ロックファンからはアイドルだと言われながら、実は実力派というか、彼らを馬鹿にしていたロックファンよりもずっとロックに造詣の深い本格志向のメンバーが顔を揃えたバンドだった。

その彼らがリリースした唯一のアルバムがこの『PYG!』だ(この他、『FREE WITH PYG』というライヴアルバムもリリースしている)。これを作った当時、メンバーたちがどれだけ自覚的だったか分からないが、ライヴではGS時代と同じように洋楽のカバーを演奏していた彼らがここでは表層的なロックではなく、自分たちにしかできない唯一無二の表現として、ロックを追求している点に注目したい。

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最終更新:12/8(土) 18:00
OKMusic

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