ここから本文です

戦術が分かればもっと面白くなる。ラグビーをプレーしないラグビーサークルの幹事長が考えていること。

12/8(土) 18:38配信

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

「今日の試合は両チームのバックスリーの出来が勝敗を分ける」

 12月2日の早明戦を前に、今シーズンの明治大学のフォーメーションやディフェンス傾向をもとに、そんな予測をツイートしたアカウントがある。その名も「早稲田ラグビー戦術研究会」。曰く、「日本で唯一のラグビーをプレーしないラグビーサークル」。2018年から活動を始めている、現役早大生が幹事長を務めるサークルだ。きっかけはエイプリルフール。ジョークのつもりで投稿した、こんなサークルを立ち上げました!というツイートがどんどん拡がった。フォロワーも増えた。「こんなに反響があるなら、ニーズがあるんじゃないか」幹事長の井坂さんは友人を誘い、活動を開始した。

 自身も幼稚園から高校まで10年以上プレー経験がある。主なポジションはスタンドオフ。やや小柄な井坂さんは、周りを活かすプレーを模索する中で、戦術の面白さに目覚めていった。「小学校3年生でパスとキックで生きていくって決めて、その頃から自分が行けないから人を活かすっていう意識がありました。」「中学生のときは親の仕事の関係で海外にいたんですが、現地で西洋人のチームでプレーしたりしました。みんな個人技ばかりで、スタンドオフでさえなかなかパスを出さないので(笑)、僕とスクラムハーフの子が1つ上の世代のチームに呼ばれて、立て直そうってことで、細かい指示を出したりするようになって……本格的に戦術的なことを考えるようになったのはそこかもしれないですね。さらに高校に入っていろんな考え方ややり方を教えてもらえて、自分の考える土台ができたと思います」。いま見ていて一番面白いと思うチームを尋ねると、「断トツでアイルランド」という返事。「組織的な戦い方で、全員がスタープレイヤーのニュージーランドに勝った。個人技だけじゃなくても勝てることを示したのは偉大だな、と思います。」もっと北半球の試合も見たいが、有料放送をいくつも契約するのはちょっとお財布に厳しい部分もある。

 一方でそういった面白さが、まだまだ広がっていないのでは、とも感じている。「サッカーはゲームの影響なんかもあって、監督目線というか戦術的に見ている人も多いし、そういうメディアもあって、ファンも楽しめている。でもラグビーはそこまで至っていない」。サークル結成の背景には、そんなモヤモヤもあったのかもしれない。最近では「戦術を語る上で信憑性の土台になるデータは欠かせない」と考え、現役のラグビーアナリストに話を聞きに行くこともあるという。自身も将来そういう仕事ができれば、とも思う。

 ちょっとしたジョークから始まったサークルは、いまや男女合わせて19名のメンバーがいるインカレサークルだ。今後の目標は早稲田大学の公認サークルになること。早大生が21人以上在籍したうえで1年間の活動実績が必要になるが、公認サークルになると部室が与えられる。「みんなが気軽に立ち寄れる、自分たちの居場所ができますよね。モニターを置いて、本を置いて、って妄想が膨らみます」。プレー経験がなくても、たまにテレビでやったのを見たことがある、程度でも歓迎だ。「全然ラグビーをやったことがなくても、基本的なルールと簡単な戦術を説明すると、意外と理解してもらえていて、競技経験はあんまり関係ないな、という感触があります。インカレサークルなので、他大学の方にも参加してほしいです」

 最後に、もう一段深くラグビーを見たい!という人はどこに注目していくといいと思うかを聞いた。「うーん、そうですね……まずは陣地とキックの部分ですね。キックの本数というよりは、どういうキックを蹴っているのかを考える……ハイパントなのか、タッチに出すのか・出さないのか。どのエリアでどんな種類のキックを使っているのかっていう関係性から、チームの意図を見えるんじゃないかと思います。」「できるだけ多くの人のラグビーの観戦リテラシーを高めたいですね。1つ1つのプレーはもちろん、そこまでの組み立てやマネジメントまで理解できれば、もっとラグビーが面白くなりますよ」。

(文・野口弘一朗)

あなたにおすすめの記事