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建設会社「現場は悲鳴」 実習生「家族と暮らしたい」 入管法改正案成立へ 人手不足解消へ期待

12/8(土) 12:25配信

千葉日報オンライン

 臨時国会最大の焦点となった入管難民法などの改正案は、野党が強く反発する中で参院本会議で採決が行われた。成立を前に取材に応じた千葉県内建設業の経営者は、「人手不足で業界からは悲鳴が上がる」と厳しい現状を訴え、「法改正により人手不足の解消が期待できる」と歓迎。ただ、“生煮え”と批判され中身が曖昧な議論のため「本当に外国人労働者が集まるのか」と疑念も。外国人の技能実習生は「実習中は家族と暮らせずさみしい」と本音を漏らした。

 大手ゼネコンの下請け建設会社「興和工業」(野田市)の経営者と外国人技能実習生が取材に応じ、同法成立への期待と不安、課題などを訴えた。

 人手不足のため仕事を断ったことがある同社は、6年前から人材確保へ、外国人労働者の雇用を始めた。現在は従業員の過半数となる8人を、フィリピンからの技能実習生と、実習を終えた建設就労者に頼っている。

 同社の人手不足は解消されず、今秋に一般の従業員を募集した。「週休3日の正社員」「日給の増額」など待遇を改善したものの、応募ゼロ。室星恵子会長は「建設業の『きつい』イメージがぬぐえず、待遇を良くしても人が集まらない」と嘆く。

 同業者からは「外国人がいないと建設現場は立ちゆかない」と悲鳴が上がっているという。それだけに、同法改正で人材確保につながることへ期待は大きい。

 ただ、「新設される在留資格の具体的基準がはっきりと見えず、不安」と、室星会長の疑念は消えない。

 一方、技能実習生も、法案審議の行方に注目してきた。現状では、実習中に家族は帯同できず、実習生の継続を断念して帰国したり、家族の帯同が可能な他国を選んだりするケースも。「家族と暮らすため特定技能2号を目指しても、熟練した技術者と認定されるまで長期間の勤務が求められる」と見通しは明るくない。

 外国人の技能実習生は、母国の家族のために、厳しい生活を送っている。「高度な技術を習得したい」「母国の家族に仕送りが必要」「将来家を買う資金を貯めたい」などそれぞれ目標を掲げる。同社が用意する宿泊施設で共同生活を送るため日本の暮らしになじんでいるが、「家族と暮らせないことが一番の悩み」と話す。法案審議を伝えるニュースでは家族との生活がどうなるのか目を離せない。家族帯同について改善を望んでいる。

 フィリピン籍のタンギハン・ローランド・パランさん(31)は、長女(5)を大学に通わせるのが目標。勤務3年になるので来年は帰国か建設就労者になるかなど選択を迫られる。「子どもの将来を考えれば日本で働きたいが、家族と過ごせなくてつらい」と悩みは深い。

 3年間の実習を終えた同国のサムソン・ビンセント・ルモダンさん(30)は、建設就労者として働く道を選んだ。家族帯同が可能な他国で実習生になる選択肢もあったが、同社への愛着が勝った。「子どもから電話で『帰ってきて』と言われ心が痛い。高い技術を身に付ければ、家族と暮らせるという法律に変えてほしい」。真剣なまなざしで訴えた。

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