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LAMP IN TERREN「“ありのまま”という言葉に向かっていた」試練を超えて生まれた音楽:インタビュー

12/8(土) 12:14配信

MusicVoice

 4人組ロックバンドのLAMP IN TERRENが12月5日に、4枚目となるフルアルバム『The Naked Blues』をリリースした。2018年は彼らにとって一つの試練の年になったのではないだろうか。それは、フロントマン・松本 大(Vo、Gt)の声帯ポリープ切除手術による活動休止を余儀なくされたからだ。活休は彼らも初めてのこと。インタビューでは活休中のメンバーそれぞれの動きや、自身最大キャパとなった8月19日に開催された日比谷野外大音楽堂での復活を遂げたワンマン、それを経て完成させたニューアルバム『The Naked Blues』について、4人に話を聞いた。【取材=村上順一】

絶望感しかなかった

――活動休止からの8月の野音まで、各々どのようなことを考えたりしていました?

大屋真太郎 僕は休止ということに不安がありました。でも自分にフォーカスして見つめ直す良い機会になりました。不安はありましたけど、野音という大きな目標があったから、より自分を見つめ直せたかなと思っています。僕の中では野音は確実にターニングポイントになったと思うんですけど、それは野音でやってる時よりも、今作が完成して初めてそう思えたところがありました。活休前は正直に言うと、バンド内の空気もすごく落ち込んでいて。でも、活休で自分を見つめ直して、野音であるべき姿にハマったなと思いました。あれが一つのエネルギーになったと今、感じています。

中原健仁 僕は(松本)大が手術することに対して不安はそんなになかったです。というのも、もちろん大の声質も好きなんですけど、表現力が特に好きなので、活休をしてもっと良くなるだろうなというのがありました。実際すごく良くなったと思っています。帰ってくる大の為に僕らもスキルアップしなければならないと思いました。あとは野音へ向けて沢山の人に来てもらう為にメンバーそれぞれユニークな試みをしたり。

――そして、野音の当日を迎えてみていかがでした?

中原健仁 いざ本番を迎えたら僕はめちゃくちゃ緊張して。今までフェスなど大きなステージでも緊張はしない方だったんですけど、お客さんを見た瞬間ガッチガチで。今回イヤモニにしたので、いつもと違う感じでそれも相まって…。イヤモニ自体は良い経験になったんですけど、ステージでの鮮明な記憶もあまりなくて。ちゃんと帰って来たというところ伝える日だなということを想って演奏していました。

――川口さんはいかがでした?

川口大喜 活休に入ってからの1週間はドラムに触らないようにしてました。なぜなら、まずは考えられるだけ考えてみようと思って。そうしたら自分のやるべきことが見つかって。それは、ドラムに限らず自信をつけることでした。なんでも良いのでやり切ること、行動を起こすことで自信に繋げていく。とにかく活休中に自信をつけて野音に臨みたいなと思いました。大が一番不安だったと思うんですけど、僕らまで不安になってはいけないなと思って。

――確かに一番不安だったのは松本さんだと思います。ポリープを切除して、初めて声を出した時はどうでした?

松本 大 とりあえず、手術後の第一声は何て言おうかは考えていました。身内とのことなんですけど、朝でも昼でも関係なくひたすらみんなに「こんばんは」と言い続けていました。全く意味は無いんですけどね。

中原健仁 そうだった。大は何を言ってるんだろうと思いましたから(笑)。

松本 大 歌に関しては、一人でカラオケに行って歌ったんですけど、もう絶望感しかなかったです。「誰この人?」みたいな。当時はすぐに声がひっくり返ってしまってコントロールが上手く出来なくて…。

――それを野音までに上手くコントロール出来るようにして。

松本 大 そうです。僕の声の変化を説明するのにギターとアンプの関係性がわかりやすいと思うんですけど、ギターが僕の心だとしたら、アンプは喉みたいな感覚なんです。6本の弦が分離して倍音豊かな包容力があるアンプを実際僕は使用しているんですけど、そのアンプの特性に近いものを僕の喉には感じていて。

 レコーディングエンジニアの方が言うには、僕の声は倍音がすごく多いらしくて、他の楽器と被ってしまうみたいなんです。術後はそれが消えて、自分の特性が無くなってしまった感覚で、良くないところだけが残ってしまった感じで、「終わった…」と思いましたから。今はその声と向き合って、この声に合う歌い方をしています。

――野音で2時間歌ってみた感触は?

松本 大 その日はずっとズレっぱなしでした。自分としてはショックが大きいライブではありました。映像化されるし、みんなには申し訳ない気持ちでいっぱいなんですけど、満足のできるライブではなかったです。

――でも、野音に立てて良かったとは思えていますよね?

松本 大  ポリープが発覚する前までは、野音は僕たちの最大キャパだったし、ご褒美みたいな感覚もあって、楽園に向かっているという感じだったんです。でもポリープが見つかって楽園から戦地へ向かっている感じになって。

――でも、結果的には最高傑作と言えるほどの今作にもつながったところもあって、ただでは転ばないなと思いました。今作のタイトルを見て、LAMP IN TERRENはブルースだったんだとハッとしたんですけど、このタイトルはどのように出てきたんですか。

松本 大 確か「New Clothes」を制作していると同時に、この『The Naked Blues』というタイトルが出てきていたと思います。「New Clothes」は去年の夏頃に作って、秋のライブで初披露したんですけど、その段階で「Dreams」「花と詩人」「おまじない」は出来ていて、メンバーに聴かせるためのフォルダの名前が既に『The Naked Blues』でした。今思えば、この一年は『The Naked Blues』になるための関門だったのかなと思います。曲だけではなく、僕たち自身もこの“Naked=ありのまま”という言葉に向かっていってたんだなというのが、後になってわかってきました。

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最終更新:12/8(土) 12:14
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