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川崎・完全優勝への軌跡(1) 「いいサッカー」名手脱帽

12/8(土) 10:05配信

カナロコ by 神奈川新聞

 リーグ最多得点に最少失点-。J1川崎が攻守に盤石な“完全優勝”で史上5クラブ目の2連覇を達成した。1993年のJリーグ創設時の10チーム以外では初の偉業を成し遂げ、常勝への一歩を踏み出したシーズンを振り返る。

【写真】川崎イレブンの熱戦の様子

 「質の高い選手がそろっていて、チームとしていいサッカーをしている。首位を走っているだけのことはある」

 リーグ王者の攻撃力は、世界的名手のイニエスタを悔しがらせた。

 ホーム等々力で派手な打ち合いを演じた10月20日の第30節・神戸戦。スペインの名門バルセロナで長く中心選手として活躍したスーパースターを向こうに回し、川崎は3-3の後半24分に圧巻の一撃を見せた。

 自陣でのエウシーニョのボール奪取を起点に、チームは長短のパスを自在にピッチへ走らせる。ペナルティーエリア手前で家長がボールをフリックすると、攻撃は一気にテンポアップ。最後は中央に走り込んだ大島が小林とのパス交換で素早くゴール前に抜け出し、左足で勝ち越しのネットを揺らした。

 月間ベストゴールにも選ばれた会心の決勝点は、川崎の全フィールドプレーヤーがつないだ34本のパスから生まれた。出し手と受け手がイメージを共有し、瞬時にゴールへの道筋を描く-。真骨頂ともいえる連係に「早く帰って(映像を)見返したい。イニエスタもああいうパス回しがしたいんじゃないかな」と主将小林は胸躍らせ、ベテラン中村も「なかなか日本では見られない崩しだった」と自賛した。

  ■ ■

 この試合を含めて残り5戦。前年王者の真価が試されていた。15戦無敗の驚異的な追い上げで最終節に逆転優勝した昨季とは異なり、今回は首位の座を守る立場。直前の鹿島戦で引き分けに持ち込み、5月には勝ち点13差まで離された広島を1差でかわしていた。

 ともにワールドカップ優勝経験のあるイニエスタと元ドイツ代表のポドルスキという強力な個を擁する相手に、一時は1-3と劣勢を強いられた。それでも「3点目を取られた時も普通に勝てるかなっていう感覚だった。すごく落ち着いていたと思う」(小林)と浮足立つことはなかった。

 チャンピオンチームに根付いていたのは、周囲の状況に左右されずに勝ち点を積み重ね、最終的には悲願の初タイトルを獲得した昨季の成功体験だ。試合後の中村の表情も自信に満ちていた。

 「首位に立っても勝ち点3を目指すことに変わりはない。いくら(相手に)いい選手がいようと、自分たちのサッカーを突き詰めればこういう結果になることを証明できた」

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 就任2年目の鬼木監督が1月の始動日から強調したのは、「チャンピオンとしての覚悟を持ち、連覇をはっきりと意識してシーズンを戦うこと」。2位で迎えた長崎戦前のミーティングでは、首位争いをしていた広島の敗戦をあえて選手に伝えることで、勝利への強い意識付けを行ったという。「勝負弱い」というレッテルがつきまとってきたチームに、さらなる意識改革を促した。

 シーズン序盤に大きく先行したライバルを追い抜き、首位に立ってからは追われる者の重圧もはねのけた。G大阪時代の2014年に国内3冠を経験した阿部は、チームの成長をはっきりと感じ取っていた。

「みんな試合中の自信がついて、状況によってぶれなくなってきた。今は僕も助けられる立場。声を掛けなくても大丈夫になってきた」

=つづく

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