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(朝鮮日報日本語版) 【社説】韓国軍元司令官の自殺、今後どれほど恨みが積もるだろうか

12/8(土) 8:28配信

朝鮮日報日本語版

 韓国軍機務司令部(情報部隊)の李載寿(イ・ジェス)元司令官が昨日自殺した。李氏は機務司令官在任中、旅客船「セウォル号」沈没事故の遺族に対する査察を行った容疑で検察の捜査を受けてきた。検察は逮捕状も請求したが、裁判所は今月3日「逮捕の必要性も妥当性も認められない」としてこれを棄却している。

 検察によると、李氏は遺族らをめぐる否定的な世論を形成する目的で査察を指示し、また警察庁からリベラル系団体の集会計画に関する情報を集め、それを在郷軍人会などに伝えていたという。ところが当時機務司が作成した報告書の多くにはそれとは逆の内容しか記載されていなかった。そればかりか「セウォル号追悼の雰囲気を邪魔するような行為を遮断せよ」だとか「査察問題が起こらないよう、分別のない行動は取るな」などの記載まであったという。しかし検察は自分たちに都合の良い証拠ばかりをつぎはぎして逮捕状を請求した。果たして李氏は本当に大きな罪を犯したのだろうか。李氏を標的として犯罪者に仕立て上げる今回のような行為は検察として本当にやるべきことだろうか。

 前政権の関係者に対する積弊捜査はすでに2年近く続いている。家宅捜索は数百回に達し、100人以上が逮捕され、今も裁判が進行中だ。裁判の結果、彼らに宣告された懲役刑を合計すると100年を上回っている。裁判が進行中の元閣僚や次官クラスも30人近くに達し、ある部処(省庁)では数十人が一気に取り調べを受け起訴された。全く問題のない人物を探す方がむしろ難しいとまで言われているくらいだ。

 彼らは検察から事情聴取を受けるたびにマスコミの取材攻勢にさらされ、確認もされていない容疑がメディアに報じられることで社会的に葬り去られている。このような人民裁判まがいの捜査は全く終わる気配もない。数年前の行動を調べて容疑が出てこなければ10年前について調べ、逮捕後に釈放されれば再び逮捕するため別件の捜査が行われる。前政権で安保室長だった人物は、今の政権が発足してから全く異なる6つの容疑で検察の捜査や監査院の調査、大統領府からの調査を繰り返し受けた。これでは捜査ではなく完全な人身攻撃であり、法の執行ではなく暴力だ。また検察は警察に捜査権を奪われないため、自ら先頭に立って政権の忠犬になろうとしているが、これも一連の捜査に影響している。

 一連の捜査過程ですでに数人が自ら命を絶った。国家情報院によるネットでの書込み妨害疑惑で捜査を受けた現職の検事は昨年11月、逮捕状審査を前に飛び降り自殺した。その数日前にはその検事と国家情報院で共に業務にあたっていた弁護士が車の中から遺体で発見された。「防衛産業積弊」で目をつけられたある企業の役員も自ら命を絶った。しかしその企業に対する捜査で不正は何も発見されなかった。一連の報復劇が終わった時に、どれほど多くの関係者が犠牲になり、また恨みが積もり積もっているだろうか。

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