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【埼玉経済ウオッチ】スポーツ分野で起業家育成 県、若手支援し活性化目指す

12/9(日) 7:55配信

産経新聞

 県民の特徴の一つとしてスポーツを愛する人が多いということが挙げられる。それを象徴するかのように県内には地域に密着した野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどのプロスポーツチームが複数ある。その特性を生かし、県は8月にスポーツ分野で若手起業家の育成に乗り出した。県内のプロスポーツチームや専門家と連携し、新たなビジネスを創出する「イノベーションリーダーズ育成プログラム」を実施している。

 「2019年ラグビーワールドカップ」や「2020東京五輪・パラリンピック」を控え、スポーツ市場の拡大が見込まれている。県は同プログラムを通じ、スポーツ分野で若手起業家を輩出したい考えだ。

 具体的には公募で選ばれた有望なプランやアイデアを持つスタートアップ企業や個人が先輩起業家や専門家の助言を受けて、県内のプロスポーツチームの課題を解決し、新たなビジネスを創出する取り組みだ。参加対象者はおおむね30代までとなっている。

 県は平成30年度予算で同プログラムに約3千万円の事業費を盛り込み、財源に国の地方創生推進交付金を活用。「デロイトトーマツグループ」に事業を委託し、8月21日に大宮ソニックシティでキックオフイベントを開催した。

 イベントでは連携するJリーグ、浦和レッズと大宮アルディージャ、プロ野球の埼玉西武ライオンズの3チームが実際に抱える経営面や運営面の課題テーマをそれぞれ発表した。浦和レッズがテーマの一つとして、浦和美園駅からスタジアムまで距離があり、その間に何か楽しめるプランやアイデアを募集した。

 このほか、イベントでは県出身の村井満Jリーグチェアマンの基調講演のほか、楽天大学の仲山達也学長らスポーツビジネス有識者によるパネルディスカッションも行われた。

 課題テーマを解決するビジネスプランには70人の企業・個人が応募し、書類審査で43人が通過。11月末に実施した2次審査で8~10人が選定される予定。来年1月の最終審査で特に有望な4つのプランが選定される。その後、集中的にプランをサポートし、各チームとの協業につながる事業計画まで仕上げることを目指している。

 県産業支援課の尾崎範子氏は「若い起業希望者が減少している中で、県から起業を後押しする仕組みを作りたい。そのためには注目が集まりやすく、かつ成長が予想されるスポーツ分野の起業を促し、地域活性化につなげたい」と意欲を示す。

 欧米は各地に存在感が大きいプロスポーツチームが拠点を構え、創業支援事業も活発に行われている。国内で地方自治体とプロスポーツチームが大規模に連携して同事業を推進するのは初の試み。スポーツを地域活性化や健康増進につなげる機運は年々高まっており、埼玉県から発信される同プログラムは全国的に広がるポテンシャルを秘めている。(土持功・東京商工リサーチ埼玉支店長)

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【プロフィル】土持功

 つちもち・いさお 昭和47年、宮崎県生まれ。立正大学卒。平成10年東京商工リサーチ入社。東京支社調査部を経て、27年6月より現職。趣味はサッカー(最近は観戦が主)、ランニング。

最終更新:12/9(日) 15:05
産経新聞

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