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なぜ日本のプロ野球選手に、愛煙家が多いのか

2018/12/14(金) 8:13配信

ITmedia ビジネスオンライン

 あらためて言葉に力がある人だなあと思った。巨人の新指揮官になった原辰徳監督だ。

 時々暴走してヘンな日本語になっている点には目をつぶるにしても、やはり前監督と違って一語一句に重みと説得力があるからメディアに大きくクローズアップされる。自身の野球殿堂入りを祝う会で、安倍晋三首相や渡辺恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆らを前に力強い言葉とともに感謝の意を口にし、広島東洋カープからFAで移籍してきた丸佳浩外野手の入団会見でも同席して、熱弁を振るう姿は確かに見聞きする人たちを大きく引きつけた。

【ベンチ裏で、ぷかぷか吸っている選手が多い】

 ただ、ここ最近の発言の中でも個人的に「原さんらしいなあ」と感じたのは、10月23日の再々就任会見でのコメントだ。今季若き主砲として4番に定着した岡本和真内野手について「まず、タバコをやめることだね。彼、タバコを吸っているらしいね」と言い放った。

 プロ野球界で喫煙者の実名を明かすのは基本的にタブーとなっているとはいえ、声の主が巨人の指揮を執る原監督とあれば、指摘された側の岡本も観念するしかない。ちなみに原監督は元愛煙家だったが、ひと昔前にタバコ断ちに成功。今はタバコの煙そのものを毛嫌いするようになっている。

 かつての第二次政権時代、原監督は東野峻という当時伸び盛りの若き右腕に禁煙指令を出したことがある。しかし東野は結局禁煙できず、「やめないことも勇気」という難解かつ強気な反論を公にしたばかりか、成績も低迷したため原監督からも見切られた。その後はタバコ断ちを果たしたものの、目立った活躍は残せず、他球団を渡り歩いた末に29歳の若さで引退した。

いまだ「ヤニの悪臭と煙」が漂ってくる

 原監督の岡本に対する禁煙指令は、世の流れから考えても至極真っ当だ。今夏、国で受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が成立した。東京都でも都独自の受動喫煙防止条例が2019年1月1日から段階を踏む形でスタート。大阪府など他の自治体でも関連する条例が成立、もしくはすでに施行されている。

 20年に開催される東京五輪・パラリンピックを前に政府や各自治体は「禁煙化」を推奨しようとしているにもかかわらず、参加種目となっている野球で活躍するスター選手たちの間から、いまだ「ヤニの悪臭と煙」が漂ってくるのはナンセンス極まりない。

 厳密に言えば、日本プロ野球界は「禁煙」の問題から目を背けている。例外なのは横浜DeNAベイスターズくらいだろう。12年の球団買収後、新しいフロント陣が愛煙家の選手たちに「人前では吸わない」という新ルールを徹底させ、若手たちには禁煙を強く勧めた。

 以来、新入団選手に対しては禁煙を完全に義務化させている。「買収前のベイスターズは低迷続きだったが、ここ数年上がり目になって優勝を狙える戦力が整ってきたのは、球団の禁煙化も功を奏している」という分析はあながち的外れではない。

 ただ、DeNAの英断から6年が経過したが、残念ながらプロ野球界に「禁煙」は浸透していない。プロ野球界で全選手の約4割が喫煙者という声もあるが、その数字はかなり少なく見積もっているような気がする。現場で取材している個人的な見解として、全体の半数以上は吸っているのではないかという印象を受けている。

 ついこの前のクライマックスシリーズや日本シリーズでも取材に行くと、ベンチ裏でプカプカとうまそうにタバコをくゆらせている主力選手たちやスタッフを数多く見た。名前はあえて挙げないが、その中には侍ジャパンにも名を連ねる主力選手もいたことだけはヒントとして触れておく。

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