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ゲノム解析とゲノム編集で私たちのくらしはどう変わるのか

2018/12/14(金) 20:40配信

LIMO

「ゲノム解析」と「ゲノム編集」に起こった技術革新

前回の記事ではゲノム解析とゲノム編集に起こった技術革新について、とりわけ次世代シークエンサーの登場や新たなゲノム編集技術であるCRISPRの発見により、劇的にコストが低下すると同時に作業スピードが大幅に向上し、活発な研究が行われていることについてお話ししました。

本記事では、両技術を活用して現在研究開発が進められているいくつかのエリアについて、私たちの生活にどのような事が起ころうとしているのか? について調べてみます。

ヘルスケア分野

まず一番初めに思いつくのはこの分野でしょう。

現在の医療の多くは、すべての患者に画一的な治療法を行うことを前提としており、病気の根底にある原因を治すというよりは症状に対処するものが中心です。しかしゲノム解析により人体の仕組みに対する理解が深まれば深まるほど、医療が一人一人に合わせてパーソナル化され、遺伝性が疑われる癌や希少遺伝疾患のように遺伝的要素が強い難病の治療が可能になることが期待されます。研究者が現在まさに取り組んでいるのは、従来の治療法では症状に対処するしか方法が無かった領域です。

たとえば、ゲノム編集技術であるCRISPRを応用した治療として初めて実用化される可能性が高いのは、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法でしょう。これは個人の免疫細胞を利用して、健康な細胞を損なわずにがん細胞のみを標的として死滅させる免疫療法の一種です。FDA(米国食品医薬品局)は2017年に血液がんに対するCAR-T免疫療法の2手法を認可しましたが、現在開発が行われている次世代CAR-Tでは革新的なゲノム編集技術であるCRISPRを活用して、より安全かつ有効性が高い治療法の開発が見込まれます。

さらにCRISPRは遺伝的変異の修正や治癒においても大きな可能性を秘めています。現在までに、科学者たちは約10,000種類の単一遺伝子疾患(単一の遺伝子のエラーによって引き起こされる疾患)を特定しています。

個々の疾患が珍しいことから現時点で治療法が存在する単一遺伝子疾患はごくわずかであり、歴史的に治療の焦点は症状への対応に置かれてきました。しかし、現在様々な企業がCRISPRを用いた各種遺伝疾患の治癒に取り組んでおり、欠陥のある遺伝子を修正することによって遺伝子やタンパク質の正常な働きを取り戻させる方法-つまり症状への対応ではなく治療-に取り組んでいます。

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最終更新:2018/12/14(金) 20:40
LIMO

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