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フロンターレの名物広報・天野春果が危惧する、Jリーグのアンバランス。「事業のクラマーさんが必要」

2018/12/15(土) 11:51配信

VICTORY

川崎フロンターレの名物プロモーション部長・天野春果さん。現在は東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会に出向している天野さんは、川崎時代に数々のユニークな企画を実現してきました。西城秀樹さんが「ヤングマン」を熱唱すれば、等々力競技場のトラックでF1カーが疾走。はたまた、「シン・ゴジラ」が始球式を行なったり、宇宙飛行士との交信を行なったり、小学生用の算数ドリルを作ったり……そんな天野さんが危惧しているのは、Jリーグの“強化“と“事業“のアンバランスについて。どういうことなのでしょうか?

事業の重要性を伝えられる教育者が必要

「クラマーさんがもうひとり必要です」

 川崎フロンターレの天野春果は、偉人の名前を持ち出した。Jリーグの“強化“と“事業“のアンバランスについて、話をしていたときだ。2015年9月に亡くなったドイツ人のデットマール・クラマーといえば、1960年の来日以来、日本サッカーの強化の礎を築いてくれた大恩人だ。そのクラマーさんがもうひとり必要とは、どういう意味なのか。川崎フロンターレのプロモーション部部長として事業の側面からこのクラブの成長を牽引してきた天野は、次のように説明してくれた。

「日本の文化を理解した上で、プロスポーツにおける事業がいかに重要かを、これからの担い手に伝えられる傑出した教育者がいてくれたら……。いま必要なのは強化ではなく事業のクラマーさんなんです」

 天野が危惧しているのは、Jリーグに蔓延する強化と事業のアンバランスだ。多くのクラブが目先の結果に囚われすぎている。常に強化ばかりに力が入り、事業は蔑ろにされがちだ。そうした偏向を積み重ねてきて、現状はどうなっているのか。事業の側面からJリーグを発展させうるプロの人材が少ない。それ相応に強化が進んだ選手や監督と比べると、事業のプロフェッショナルは必要性すらあまり認識されていないだろう。フロンターレの事業に20年近く関わってきた天野の、それが偽らざる実感なのだ。

 ここで強化と事業の関係性を整理しておきたい。Jリーグの場合、商品はサッカーだ。その観戦に正当な対価を支払ってもらうには、白熱したドラマチックな試合や、チームや個人の優れたパフォーマンスを継続して提供していく必要がある。だとすれば、試合やパフォーマンスの魅力を高めるために、強化に力を入れるのは当然だ。しかし、日本中の誰もがJリーグに興味を持っているわけではない。プロスポーツが定着している欧米諸国との大きな違いがここにある。関心の低い多くの人を振り向かせ、スタジアムまで足を運んでもらうには、強力な仕掛けが必要となる。話題性の高い企画やイベントによるファンの裾野拡大こそ、事業の主な目的なのだ。日本はプロスポーツ後進国なので、なおさら事業に大きな意味がある。

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最終更新:2018/12/15(土) 11:51
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