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村上春樹が、クリスマスになると“つい聴きたくなる曲”とは?

2018/12/16(日) 19:56配信

TOKYO FM+

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめたラジオ番組「村上RADIO~村上式クリスマス・ソング~」が、12月16日(日)にTOKYO FMにて放送されました。この番組では村上さん自らディレクターもつとめ、リスナーに“聴いてもらいたい曲”をかけています。第3回の今回は、村上さんならではの“ひと味違った”クリスマス・ソング全11曲をお届けしました。そのなかから選りすぐりのクリスマス・ソング3曲についてお話された概要を紹介します(*関連記事は、ページ下部の関連リンクよりチェックできます)。

◆「White Christmas(3 O'Clock Weather Report)」(Bobby The Poet)

次にかけるのは、コメディアンとラジオのパーソナリティーが3人集まってでっちあげたグループによる冗談音楽ですね。1967年2月に録音されました。シングルカットされて、ちゃんと普通に出ました。JFK(ジョン・F・ケネディ)の弟、ロバート・ケネディ上院議員が選挙のキャンペーンで、若者に受ける音楽を流そうと思い立ち、今流行りのフォークソングで行こうということになりました。それで、“ボビー・ザ・ポエト”詩人ボビーという歌手をスタジオに呼んでキャンペーン・ソングを歌わせるんですが、これがもろボブ・ディランのものまねになります。ところが“ボビー・ザ・ポエト”は詩人なので、なかなか言うことをきかなくて、キャンペーン・ソングじゃなくて、勝手にクリスマス・ソングを歌ってしまいます。
おまけにサイモン&ガーファンクルの有名な「7時のニュースときよしこの夜」をパロって、歌のバックに「3時の天気予報」が流れます。ご存じのように、サイモン&ガーファンクルの方は歌のバックでヴェトナム反戦運動を扱ったニュースが流れていて、プロテスト・ソングになってるんですが、この天気予報は相当に無茶苦茶な代物で、思想性のかけらもないところがすがすがしいというか、なんというか……とにかく、かなり笑えます。

◆「White Christmas」(Sheryl Crow)

おちゃらけの「口直し」というか、今度は比較的まともな「ホワイト・クリスマス」をかけましょう。
誰が歌っているかわかりますか? 歌っているのは、そう、シェリル・クロウです。リズムというか、このグルーヴがかっこいい。こういうノリの「ホワイト・クリスマス」って意外にないかも。2008年にカリフォルニアで録音されました。僕はシェリル・クロウって、昔から好きなんです。なんか長女タイプですよね。しっかりした性格のお姉さんで、弟や妹の世話をして、いつも気を張って生きている。そういう健気(けなげ)さみたいなものを僕は彼女の歌から感じてしまうんです。「そんなに頑張らなくてもいいんだよ」と声をかけたくなるんだけど、でもつい頑張っちゃうんでしょうね。

◆「Little Saint Nick」(Brian Wilson)

今日は1960年代に録音されたクリスマス・ソングと、2000年代に録音されたものを交互にかけているような格好になってますけど、次にかけるのは2005年の録音です。

ブライアン・ウィルソンが、かつてビーチボーイズの一員として録音した名曲「リトル・セイント・ニック」をセルフ・カバーしました このセルフ・カバーもオリジナルのアレンジメントをそのまま踏襲していますが、声は人生の荒波を経てけっこう渋くなってます。
オリジナルと聞き比べると感無量というか……でも楽しい歌ですよね。クリスマスになるとつい聴きたくなります。
セイント・ニックというのは「聖ニコラス」、つまりサンタクロースのことで、もちろん作曲したのはブライアンです。なんかひょいひょいと軽く作っちゃいました、みたいなノリの曲だけど、よく聴くと構造がしっかりしていて、アレンジもセンスが良いし、半世紀以上を経ても聴き飽きません。もちろん「ペット・サウンズ」以降のブライアンも素晴らしいんだけど、初期の頃のこの「軽々さ」感覚は捨てがたいですよね。
(TOKYO FM「村上RADIO~村上式クリスマス・ソング~」より)
この記事で紹介できなかった選曲やほかの内容は、以下の記事よりチェックできます。

最終更新:2018/12/16(日) 19:56
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