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【取締役9人辞任】日本が失ったバイオ・創薬分野の未来。産業革新投資機構、問題の本質とは

2018/12/17(月) 12:12配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

産業革新投資機構(JIC)の民間出身の取締役9人全員が辞任を表明した問題は、高額報酬の是非や経産省とJICの田中正明社長らの対立に注目が集まっているが、取締役の辞任とは別に、一連の経緯で失われたものがある。

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認可第1号ファンドとして2018年10月26日にJICからの資金供給が発表された、西海岸ファンドと呼ばれる「JIC-US」だ。このファンドは、バイオ・創薬分野への投資が目的とされる。

バイオ・創薬分野のベンチャー企業育成は、世界的にアメリカが突出しており、日本は、中国や韓国にも遅れを取っている。それだけに、20億米ドル規模の西海岸ファンドの設立には注目が集まっていた。特に注目を集めていたのは、機構の副社長として西海岸ファンドの代表を務めていた金子恭規氏の存在だ。

日本のバイオベンチャーの時価総額は米の47分の1

バイオ・創薬分野への投資にはどんな狙いがあったのだろうか。西海岸ファンドの認可が決まった10月に経済産業省が公表した資料に、端的に示されている。

「産業革新投資機構がJIC-USへの特定資金供給を行うことの認可について」と題して公表された資料には、上場後のバイオベンチャーの時価総額の比較が掲載されている。

出所が「経済産業省」とされているため、経産省による集計と考えていいだろう。2018年10月時点の、上場後のバイオベンチャーの時価総額は、次のようになっている。

・米国:156社、61.5兆円
・韓国:40社、9.4兆円
・欧州:81社、9.2兆円
・中国:35社、5.7兆円
・日本:27社、1.3兆円

割り算をしてみると、アメリカのバイオベンチャーの時価総額は、日本の約47倍になる。

西海岸ファンドの設立は、この劣勢を跳ね返すうえでも意味があった。経産省の資料には、「米国の優良ベンチャーへのアクセスをめぐるグローバルな競争が激しくなる中、JICが投資を行うことで、投資先の米国ベンチャーと日本の企業を繋ぐことが可能となり、日本企業が最先端ベンチャーコミュニティのインサイダーとなれるよう後押しする」とある。

アメリカのバイオベンチャーに投資することを通じて、日本のベンチャーの底上げにつなげる意図があったと理解していいだろう。

バイオベンチャーへの投資は、極めて難しいと言われる。最先端の研究動向について、深く理解していなければ、どのベンチャー企業が投資対象としてふさわしいのか、判断できないからだ。

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最終更新:2018/12/17(月) 12:12
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