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「耕作」から「光速」の世界へ 弘兼憲史氏の新作テーマ「国際リニアコライダー」

2018/12/18(火) 12:55配信

デイリースポーツ

 「島耕作」シリーズで知られる漫画家の弘兼憲史氏(71)が意外な新作の構想を明かした。現在開催中の「島耕作『超』解剖展」(有楽町マルイ8階、2019年1月14日まで)に来場した17日に語ったもので、テーマは「国際リニアコライダー」だという。いったい、どういうものなのか、詳しく聞いた。

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 弘兼氏は「新しくスタートする題材は国際リニアコライダーです。難しいんですけど、電子と陽電子を衝突させ、宇宙が再生されたビッグバン状態を作って、そこで取り出した物質を調査して、『宇宙はどうしてできたか』、『人間はなぜ分子がバラバラにならずにこのままでいるのか』といった謎に迫る。そのような話を描いています」と説明した。

 国際リニアコライダーとは「International Linear Collider」の略称「ILC」と呼ばれ、電子と陽電子を衝突させる直線型加速器である。

 弘兼氏は「世界中の量子物理学者たちを集めて岩手県にシリコンバレーのような都市を作るという計画を政府と財界が進めていて、私はそれを取材してきました」と明かす。岩手、宮城両県にまたがる北上山地が建設候補地。同氏は「そのことをしばらく(漫画で)やっていこうかと思います」と新たな取り組みに意欲を燃やした。

 岩手県ILC推進担当のホームページによると、地下約100メートル、全長20キロの地下トンネル内で電子と陽電子を光速に近い速度まで加速させ、正面衝突をさせることで宇宙誕生から1兆分の1秒後の状態がつくり出され、一瞬だけビッグバンが再現され、さまざまな粒子が現れるのだという。ちょっと実感がわかないが、この粒子を観測することで宇宙や物質の成り立ちという謎の解明に挑むことができ、加速器技術の応用によって医療など多岐に渡る分野での効果も期待できるとか。

 弘兼氏は各界の有識者による組織「ILC100人委員会」のメンバー。同氏は「まだ、編集部にも見せていないが、第1作を描き終えています」と、既に作品が走り始めていることを明言した。

 サラリーマン社会を描いた「島耕作」から一転、物理学の世界へ。“耕作”から“光速”の世界へ。まだ未知数の部分も多い分野のようだが、弘兼氏のペンによる漫画という表現手段によって、ひと足先に未知の世界のシミュレーションが世に発信されていく。(デイリースポーツ・北村泰介)

最終更新:2018/12/18(火) 13:05
デイリースポーツ

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