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本日発売『2001年宇宙の旅』4Kブルーレイに驚いた! 50年前の作品にこれほどの美が詰まっていたとは(後)

2018/12/19(水) 10:39配信

Stereo Sound ONLINE

待望のUHDブルーレイは本日(12/19)発売

 “これは観客に主観的な体験をさせる映画だ。音楽と同じように内面意識まで届くので、観客は作品のテーマや内容について自由に考えることができる” ジェフ・アンドリュー(映画評論家)

 いよいよ本日(12月19日)に発売された『2001年宇宙の旅』の4K UHDブルーレイ。前編では65mmネガ修復から高解像度スキャニング、画面比率についてまで書いたが、後編ではカラーグレーディング(カラーコレクション/タイミング/色調補正)、HDRグレーディング(輝度・色域拡張)、サウンド・フォーマットに触れながら進めていこうと思う。

 去る11月23日。NHK BSプレミアムで早朝4時30分から放送された『8Kで蘇る究極の映像体験! “2001年宇宙の旅”まもなく放送』をご覧になった方も多いと思う。番組内では65mmオリジナルネガの8Kスキャン(2ヵ月に及んだ)、8K解像度レベルでのデジタルレストア、同じく8Kレベルでのカラーコレクションまでの復元工程が紹介されていた。レストア監修を務めたのは、ワーナーのレストア部門に所属するネッド・プライス(Vice President, Restoration, Warner Bros.)。

 およそ1年間を費やした(!)カラーグレーディングを担当したのは、ワーナー・ブラザーズ・モーション・ピクチャー・イメージングのジャネット・ウィルソンだ(Senior Digital Colorist, Warner Bors.これまで『バリー・リンドン』『フルメタル・ジャケット』といったキューブリック作品も彼女が担当)。色調補正のためのカラーリファレンスとして、1999年制作のアンサープリント(前編参照)と、8Kスキャンデータからのデュープネガを基に新たに作成された70mmチェックプリントが使用されている。キューブリックがイメージしていた色彩の再現に挑んだわけだが、現存するキューブリックの細密な撮影指示書をもとに作業が進められたという。

 UHDブルーレイ化においても、ネッド・プライス、ジャネット・ウィルソンほか、レストア・スタッフの主な顔ぶれは変わらない。なにしろ長期にわたった作業のため、8K化とUHDブルーレイ化において重複している作業工程もあると思われる。さらにUHDブルーレイ版とブルーレイ版のカラーグレーディング、UHDブルーレイ版のHDR10とドルビービジョンのグレーディングには(前編で紹介した)レオン・ヴィタリも参加しており、UHDブルーレイとブルーレイのチェックディスクを確認・最終承認を行なっている。


 ここで前編のおさらいを。2007年のブルーレイは(国内版は2009年発売)、1999年にレストアされた65mmネガから生成した35mmインターポジ(色補正などを経て作られた第1世代プリント)を2Kスキャンして制作された。65mmオリジナルネガと35mmインターポジ、4Kと2Kスキャンデータというスペックの違いのほかにも、2007年版は当時の最高技術を使用していたもののカラーグレードできる色域が制限されていた。

 ローライト・エリア(暗部/低輝度部)では映像情報量が圧縮され、光学的な35mmサイズ縮小に伴なう固有のシェーディング(画面の比較的広範囲で明暗の歪みが出る現象)によって画像両サイドの明度や彩度も欠如している。あれから11年。カラーソフトウェアの性能が格段に向上したお陰で、フィルムに記録されている自然な色と輝度のカーブ(特性)を再現できたのだ。

 長年にわたって『2001年宇宙の旅』を家庭劇場で鑑賞してきたシネフィルにとって、UHDブルーレイ版にみる光彩色彩再現は驚きをもって迎えられることだろう。ここではオリジナルの68年映画リリースと直結するように色調補正が施こされており、色彩の精度や深度のアップグレードが目覚ましい。前述した入念な復元作業に加え、HEVC圧縮によって使用可能な映像ビットレートがハネあがり、ビット深度も10ビットに伸長、色彩再現性が著しく向上したことで、エンコード素材のマスターに記録されているカラーパレットに肉薄していると思われる。

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最終更新:2018/12/19(水) 10:43
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