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進学率の伸び悩みで大学はどうなる?

2018/12/19(水) 11:22配信

ベネッセ 教育情報サイト

文部科学相の諮問機関である中央教育審議会(中教審)が先ごろ、大学の連携・統合を勧める答申をしました。その中で、注目すべき推計をしています。保護者世代と比べても飛躍的な上昇を示してきた大学進学率が、今後20年たっても、それほど伸びないというのです。今後の大学は、どうなるのでしょうか。

今年生まれた子どもの時代でも

主な大学入学年齢である18歳人口は現在118万人ですが、今年生まれた子どもが大学を卒業する頃に当たる2040年には88万人と、7割程度に縮小すると見込まれています。しかしグローバル化の進展や、人工知能(AI)をはじめとした技術革新など、新しい時代に対応する高度な研究や人材育成を行う大学の役割は、高まりこそすれ低下することはないでしょう。人口減少に伴って大学がつぶれるに任せていては、地方創生どころか日本全体が活気を失うことにつながりかねません。

18歳人口といえば、第2次ベビーブームのピークだった1992年の205万人から、四半世紀後の現在は118万人と6割程度に縮小しました。一方で大学(4年制)の数は、523校から782校へと1.5倍に増えています。
1992年の進学率が26.4%と4人に1人程度だったのが、今では53.3%と、2人に1人が進学するようになったからです。

しかし中教審は今回、過去4年間の都道府県別・男女別の進学率の伸び率に注目して、2040年の進学率が57.4%と、17年に比べても4.8ポイント増に伸び悩むと推計しました。短大や専門学校を含む高等教育機関全体で見ても、3.0ポイント増の83.6%にとどまるとしています。日本の18歳人口を当てにしている限り、大学は衰退していくばかりなのです。

地域の関係者が真剣に検討する必要

とりわけ人口全体が減少し、都市消滅までささやかれる地方は深刻です。答申をまとめるに当たっては、全国的な推計だけでなく、地域別・分野別・都道府県別に詳細なデータを算出したのも特色です。このデータを見れば、その県や地域で、現在の入学定員や学部系統が維持できるかどうかが検討できるというわけです。

確かに今回の答申では、大学の連携・統合に関して(1)国立大学の「1法人複数大学制」(いわゆるアンブレラ方式) (2)私立大学の学部譲渡や撤退 (3)国公私立の枠組みを越えた「大学等連携推進法人(仮称)」……という3パターンを示したことが注目されます。
ただ、成り行きに任せようというだけではありません。域内の高等教育機関はもとより、産業界や自治体などの関係者も交えて「地域連携プラットフォーム(仮称)」を作り、そこで地域版のグランドデザインを考えてもらうよう提言している点を、見逃してはいけません。

今後、その地域がどんな産業でがんばっていくのか。そのためには、高等教育機関全体の規模や、専門分野がどのくらい必要か。そのうえで、今ある高等教育機関をどう組み合わせれば、効果的な人材育成ができるのか……。
そうした将来構想を、地域ぐるみで考えてもらおうという提言です。大学の連携・統合にしても、地域ぐるみで真剣な検討を行う過程で、自然と話が持ち上がることを期待しています。

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