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【特集】“認知症”家族の向き合い方 俳優・芦屋小雁と妻の歩み

2018/12/19(水) 15:00配信

MBSニュース

2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になると予想されています。認知症を公表した俳優の芦屋小雁さんと彼を支える妻を取材しました。

認知症と診断、俳優の芦屋小雁さん

京都市内に暮らす俳優の芦屋小雁さん(85)と妻で女優の勇家寛子さん(54)。夫婦生活23年です。

「きょうは土曜日やから『元気☆塾』。その前にお買い物のお兄さん来てくれはる」(寛子さん)

去年、小雁さんは認知症と診断されました。15歳で舞台に立ち、今年で芸能生活70周年を迎えた小雁さん。テレビ放送が始まった当初から活躍するベテランの喜劇俳優です。食事や排せつなど日常生活に必要なことは一通りできますが、会話や予定などはすぐに忘れてしまいます。

(小雁さん)「きょうどっか行くの?」
(寛子さん)「行きますよ」
(小雁さん)「どっか行くんかな」
(寛子さん)「行くよ」
(小雁さん)「わけわからん。ごめんね、なんやわからん」
(寛子さん)「また言うてるわ。わからなくていいねん、たいしたことちゃうわ」

小雁さんは週に5日、リハビリの一環として訪問ヘルパーと買い物に出かけます。しかし、その道中、顔馴染みのヘルパーのことや、自分がいま何をしているのか、わからなくなってしまいます。

(小雁さん)「いまどこ行くの?」
(ヘルパー)「いまね、とりあえず先生、お買い物です。マグロ買って、お昼ご飯にしっかり食べてもらおうと思って」
(小雁さん)「君なんや?」
(ヘルパー)「僕先生の付き添いです」
(小雁さん)「何のことかわからん」

小雁さんの要介護度は2です。入浴や着替えなど、日常生活の多くに見守りなどの介護を必要とします。

イメージ守るため誰にも相談できず

小雁さんに認知症の症状が現れ出したのは、2017年4月ごろでした。

「私が夜撮影とかで遅くなったら、最寄り駅まで迎えに来てくれてた。散歩がてらいいかなと思って。そしたら駅を間違えるようになった。(2017年)5月に検査を受けて、(2017年)6月に『血管性の認知症』やと言われた」(寛子さん)

小雁さんの認知症は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起きるものでした。激しい物忘れは日常生活だけでなく、役者の現場にも出るようになりました。

「(当時の舞台「だんじり囃子」の)舞台の袖まで私が連れていって、『なにすんねや』って言うから、シーンの最初のセリフを『おーい、荷が着いたで』って送り出すと、ちゃんと芝居する。アドリブとかもいれて。(舞台の)袖降りて帰って来ると、舞台から降りた瞬間に『何やってんねや、これ』ってなる」(寛子さん)

小雁さんの認知症は目に見えて悪化していきました。すぐに怒るようになったり、30時間にわたって徘徊をしたりすることもありました。しかし、寛子さんは誰にも相談せず、小雁さんをひとりで介護し続けました。すべては俳優「芦屋小雁」のイメージを守るためでしたが、抱え込んでいたストレスがついに限界を迎えました。

「ずっとマックスの不安にいて、そろそろ脳が疲れてくる。最悪のことを考えそうになる。魔が差すってそういうことかなと思う。死ぬっていうことを…心中とか。最終的に行きついたら、そこに行くかも。全然誰も知らないところで住めたらいいなとか」(寛子さん)

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最終更新:2018/12/19(水) 15:00
MBSニュース

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