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医療的ケア児と家族を支える取組み、厚労省が報告書公表

2018/12/20(木) 15:15配信

リセマム

 厚生労働省は2018年12月19日、医療的ケアが必要な子どもと家族を支える取組みについて、報告書を公表した。障害福祉サービスなどを実施する3法人の事例などを紹介。クラウドソーシングを活用して、社会的に孤立しがちな医療的ケア児の親が働く場を提供する団体もあった。

厚生労働省「医療的ケアが必要な子どもと家族が、安心して心地よく暮らすために」

 厚生労働省によると、身体に気管切開部がある、人工呼吸器を装着しているなど日常生活を送るうえで医療的なケアを必要とする子どもが増加しているという。2016年の対象児童数は1万8,272人と推計され、2006年の9,967人と比べて約2倍となっている。一方で、日中を過ごす通いの場が不足、家族が24時間看護を担い心身が疲労、医療的ケアの対応体制(看護師・教職員)が不足といった支援体制の課題も見られる。

 医療的ケア児が利用できるサービス例には、施設で療育や活動を行う「障害児通所支援」、訪問看護師やヘルパーが自宅に来る「訪問支援」、障害福祉のサービス利用などを計画する「相談支援」がある。家族への支援には、家族の病気などで子どもを施設に数日間預ける「短期入所」、家族の社会的孤立を防ぐ就業の機会の提供といった例があげられる。

 今回の報告書では、医療的ケアが必要な子どもとケアを担う家族を支える障害福祉サービスを実施する法人と自治体の取組みを調査。対象となった法人は、茨城県古河市の一般社団法人「Burano(ブラーノ)」、千葉県白井市の社会福祉法人「フラット」、熊本県合志市の認定NPO法人「NEXTEP(ネクステップ)」の3法人。

 「障害児通所支援」は、3法人のいずれも実施。医療的ケアに対応できる看護師を常勤雇用し、医療の程度が重い子どもが利用できる体制を構築している。フラットが運営する事業所「ビリーブ」では、看護師が同行することで、土曜日や学校の長期休暇中のイベントに友達と参加するなどの外出が実現している。

 また、「訪問支援」について、ネクステップが運営する2つの事業所の取組みを紹介。居宅介護「ヘルパーステーション ドラゴンキッズ」では、きょうだい児のいる医療的ケア児の家庭に、毎朝8時半以降の30分間に訪問し、ケア児ときょうだい児の通学・通園準備(朝食、着替えなど)から登校・登園までのサポートを行っているという。

 「相談支援」では、フラットとネクステップの事業所の取組みを紹介。フラットでは保護者、児童発達支援管理責任者、看護師、保育士がアセスメント(現状の確認)を実施し、障害福祉などのサービスを利用するために必要な計画を作成している。

 ブラーノが運営する「キッカ」では、社会的に孤立しがちな医療的ケア児の親が働く場を提供。キッカの運営側が業務を受注し、働きたいと希望する登録者にSNSを通じて仕事の説明と募集を行い、参加意思のある登録者に業務が分担される仕組みとなっている。親たちはクラウドソーシングを活用して仕事を行い、時間と場所の制約を受けずに報酬を得ることができる。そのほか、医療ケア児を通所支援施設(1階)に預けて、親が作業スペース(2階)で働くことができる事業所も運営している。

 報告書には、医療的ケア児が利用できるサービス体制と制度、課題と今後の展望のほか、利用児の家族と職員のインタビュー、各法人の取組みと所在自治体の状況などを掲載。厚生労働省は報告書「医療的ケアが必要な子どもと家族が、安心して心地よく暮らすために」を通じて、医療的ケア児と家族を支えるサービスについて広く国民に周知するとともに、支援体制の充実を推進する。

《リセマム 黄金崎綾乃》

最終更新:2018/12/20(木) 15:15
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