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教育格差は埋まるのか?「塾代助成」の課題を識者が指摘

2018/12/23(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「学区年収」なんて言葉もある。小学校の学区ごとの平均世帯年収を指していて、もちろん東京が断トツ。「マンションは学区で選びなさい」(小学館)によると、セレブが集まる港区立南山小学校では1409万円に上るという。東大生の親は、約6割が年収950万円以上だ。

 教育格差は経済格差と密接で、学力格差を招く。そんな溝を埋めようとする自治体もあり、それが「塾代助成」だ。

 たとえば大阪市は、一定以下の年収の家庭に、塾代や習い事代を子供1人当たり月1万円まで助成。父が正社員、妻がパートで働きながら、子供2人を育てている場合、所得の限度額は398万円だ。東京都の「受験生チャレンジ支援貸付事業」や、東京・渋谷区の「スタディクーポン」などでも、条件を満たす家庭は補助が受けられる。塾代を助成する教育バウチャーに乗りだす自治体も増えている。

 理屈は分かるが、教育の充実なら、学校教育の改革が先ではないか。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が言う。

「貧困家庭の子供に選択肢が増えたこと自体は、ポジティブにとらえるべきでしょう。しかし、行政が、学校のみでは教育機会が不十分ということを認めたようなもの。その考えに基づいた施策で、助成金の回収を目的にした悪徳業者が出現する恐れは十分ある。塾業界が役人の天下り先になる可能性も否定できません」

■教育レベルを底上げする秘策とは

 教師たちの過剰な負担も無視できない今、学校側の負担をさらに増やすのは難しい。やっぱり塾への助成が適当なのか。

「注意したいのは、学校の勉強についていけず、家でも勉強を見てもらえない子供たちです。助成金で塾に通っても、進学塾の内容についていけずに自己肯定感を下げてしまったり、塾の宿題を管理できなかったりする可能性があります」

 実は、そんな子供をサポートしつつ、教育レベルを底上げする秘策があるという。

「いっそ、学校と塾の2つの教育環境があることを前提にして、学校の授業を減らすのはどうでしょう。その分、放課後には、地域ボランティアなどを活用して、学校でしっかり個別補習を受けられる環境を整備するのです。そうすれば教師の負担が減り、地域の交流が増えます。恵まれない子供のサポートを充実させながら、進学塾に行く子供にとっても、塾と学校の宿題に追われて睡眠時間が削られるようなことをなくすことができます」

 一考の価値アリだ。

最終更新:2018/12/23(日) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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