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「年収減っても、貧しい感覚はない」移住者が語る「地方」のリアル

2018/12/25(火) 0:10配信

DANRO

「地方移住」と聞いて、どんなイメージが思い浮かびますか。都会の喧噪から解放されたスローライフ? それとも、地域に溶け込めず苦労する”バッドエンド”? 東京から特急で1時間10分。近くて遠い”田舎”である千葉県南東部のいすみ市に移住してシェアオフィスを営む三星千絵さん(36)に「地方移住のリアル」について話を聞きました。(小泉耕平)

【画像】離島の美しい景色

直感で「ここに来たいな」と思った

太平洋を望むいすみ市は人口約3万9000人。人口減を食い止めようと、10年ほど前から市が積極的な移住者誘致に乗り出し、農家と交流できるツアーなどのイベントや、空き家物件を検索できる「空き家バンク」などを運営。雑誌『田舎暮らしの本』(宝島社)の「住みたい田舎」ランキング(2018年)で首都圏1位を獲得するなど注目を集めています。

三星さんは現在、里山の田園風景が広がる市西部で古民家を活用したシェアハウス「星空の家」や、移住者や地元の人の交流の場となっているシェアオフィスの「星空スペース」を運営しています。しかし、7年前に移住するまでは、東京・表参道のPR会社に勤めるごく普通のビジネスパーソンだったといいます。

「実家は千葉県西部の工業地帯で、周囲も会社勤めの人が多かったせいか、学生時代から東京に出たいと思っていました。表参道の会社では、自分の仕事で世の中が動いているという感覚があって充実していましたが、次第に疑問も沸いてきたんです。時間に追われて季節の移り変わりにも気づかないし、隣の席の同僚が疲弊していても、忙しくて助けることもできない。自分の仕事が誰のためになっているのか、イメージできませんでした」

そんな感覚が募ってきた28歳のころ、三星さんは、地方移住を検討し始めました。いくつかの地域を観光がてら訪れましたが、初めて現地の人に会って話を聞いたのがいすみ市でした。翌月には、会社に辞表を提出していました。

「実際に現地に来て、直感で『ここに来たいな』と思ったんです。周囲には驚かれました。『どうして? 疲れちゃったの?』とか言われて。地方は疲れた人が行くものと思われていたんですね。腹が立ちましたが、気にしても仕方ない。逆に『すごく面白いね』と言ってくれる友達もいました」

とはいえ、田舎で農業がやりたいわけではありません。具体的に何をして生きていくか、移住した時点ではまったく決まっていなかったといいます。ひとまず、戸建ての賃貸物件に住み、移住希望者向けのアドバイスやイベントを行うNPOで働き始めました。2011年のことです。

「家賃は都会の半分なので、貯金を使えば1年くらいは何かができる。1年挑戦してみて、ダメだったら帰ればいいとも思っていました。この時期はお金を稼ぐことよりも、現地の人たちとつながりをつくることに努力しました。未来への投資、というか。イベントがあれば顔を出して、人に話しかけているうちに、『人手が足りないから手伝いに来て』みたいに声がかかるようになっていきました」

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最終更新:2018/12/25(火) 0:10
DANRO

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