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2018年のパーソナルコンピューティング動向を冷静に振り返る

2018/12/28(金) 7:45配信

ITmedia PC USER

 2018年のコンピューティング動向は「過渡期」を強く感じた1年だった。その過渡期において注目すべき点が、「エッジAI」と「プライバシー保護」だ。

【画像】注目はApple独自プロセッサの進化

 個人的な話から入ると、2018年は新しいパソコンをやっと我が家に迎えた。2017年は、27年ぶりにパソコンを1台も買わなかった年だったので、「やっと」だ。Windows PCなのか、それともMacなのかは制約を設けずに検討したつもりだが、結果、選択したのは「MacBook Pro」の13インチモデルである。

 Windowsの操作性も改善が進んでいるものの、資料やデータを検索しながら文字を操って仕事をする筆者としては、フォントのレンダリングと段組のレイアウトを画面上で高品位に表現できるMacを最終的に選んだ。こうしたスペックに現れにくい品質での違いは、20年前も今も変わらない。しかし、一方で根本的な機能や生産性に違いはないことも確かだ。

 ただ、あらためて最新のクアッドコアプロセッサを搭載したMacBook Proを使って感じるのは、一般的なCPUのパフォーマンスと別の軸に進化の道を探る必要がありそうだ……というところだろうか。

 もちろん、パソコン用CPUの進化は続く。Intel Coreは次世代になると内蔵GPUのアーキテクチャが「Gen11」となり、第6世代Core(Skylake)の「Gen9」以来、久々に更新され、最大で1TFLOPSを超えるパフォーマンスになる予定だ。

 しかし一方で、筆者が文書と写真を扱っている限りにおいて、パソコンの処理能力に不満を持ちそうな予感は将来的にない。MacBook Proの内蔵SSDが読み書きともに毎秒2.5GBを超える爆速ということもあるだろうが、90年代にこの仕事を始めたころ、よもやこんな予感を抱くことになるとは思わなかった。

ニューラルネットワーク処理の比重が高まった1年

 従来とは異なる軸のパフォーマンスについては、パソコン用ではなく、特に電力効率が求められるモバイル用SoC(System on a Chip)に新しいトレンドが積極的に取り入れられている。

 中でも重要になりつつあるのが、今年さまざまな製品で大幅に強化されたニューラルネットワーク処理能力に特化したプロセッサだ。

 Appleならば独自SoCに内蔵された「Neural Engine」、Googleならば別チップ仕立ての「Pixel Visual Core」、Huaweiならば独自SoCに内蔵された「NPU(Neural network Processor Unit)」などだが、ARMが機械学習専用プロセッサ「Arm ML」のライセンスを始めたことで、さらに多くの端末へと広がっていくだろう。

 ソフトウェア開発のフレームワークも充実してきている上、モバイルデバイスだけではなく、IoT(Internet of Things)向けのエッジデバイスにも入り込んできている。

 かつてはパソコンという汎用(はんよう)性が高く、高性能なデバイスの上でエンジニアたちが新しいソフトウェアをこねくり回し、まるで遊び場のように使いこなしながら新しいジャンルの文化が生まれてきた。

 しかし、そうした遊び場は既にスマートフォンや、スマートフォンとアーキテクチャを同じくするタブレットが中心となり、今やそこにIoTが絡む形でトレンドが生まれるようになってきた印象だ。

 恐らく、これからの10年はニューラルネットワーク処理に対する比重が高まり続ける。ものの数年でCPUとGPUを合わせたトランジスタ数を超える規模の回路が、この種の処理用に強化されていく可能性は高い。

 一つには、「やりたいこと」あるいは「できるはずのこと」に対して、既存のプロセッサの能力が圧倒的に足りていないという事実があるからだが、別の視点で考えても、戦略的にこの分野に投資する意味が大きいためである。

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最終更新:2018/12/28(金) 7:45
ITmedia PC USER

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