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世界最長海上橋、混雑で入場制限も 香港と珠海・マカオつなぐ港珠澳大橋の現状とは

2018/12/28(金) 15:00配信

乗りものニュース

まるで海上の「万里の長城」

 2018年10月23日に、香港と中国本土の珠海市を結ぶ港珠澳(こうじゅおう)大橋が開通しました。この道路は、海上橋(23kmの海上道路と12kmの香港連絡道路)と海底トンネル(7km)が組み合わさっており、珠海市の連絡道路も含めると全長55kmにもなる、世界でもっとも長い海峡横断道路です。

【図】「港珠澳大橋」の全体図

 さらに中国本土側の玄関口として、珠海市・マカオの沖に2.62平方キロメートルの人工島(珠澳口岸)まで作っており、工事期間は9年、総工費は1000億元(約1兆6千億円)以上にもなると言われ、中国らしい巨大公共事業といえます。

 珠海市の隣にはカジノで有名な、中国の特別行政区であるマカオ(澳門)もあり、旅客数が世界有数の空港を持つ香港を含めると、この地域には観光を中心にした巨大な経済需要があります。巨額な費用をかけてまで橋を作った理由はそこにあるのでしょう。

 これまでも、香港経由で中国本土やマカオに行く海外からの訪中者は多く、香港国際空港内から直接利用できるフェリーがその足として活用されていました。しかし、フェリーは香港国際空港から珠海市まで約70分もかかり、1日の便数も数便と利用時間が限られます。港珠澳大橋ではそれを約40分に短縮して24時間いつでも利用できるようになり、公式サイトではフェリー利用の全体時間(乗船手続きを含む)と比較して80%短縮を達成したと発表しています。ちなみに港珠澳大橋は、英語表記では「Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge」となり、それぞれの頭文字を取ってHZMBとも呼ばれています。

 2018年11月初旬に取材で中国を訪れた筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は、早速この港珠澳大橋を利用してみました。

ノンストップで海峡横断、しかし…

 橋の道路は上下6車線(片側3車線)と広いですが、現時点では一般車両が自由に走ることができません。11月の時点で走っているのは、商業運行しているシャトルバスとリムジンタクシーだけで、それら通行車両は登録されたクルマと専用ライセンスを持ったドライバーだけに限定されています。そのため、一般の旅行客がこの橋を横断するには、運賃を払ってこれらに乗客として乗るしかありません。料金は香港側で65HKドル、珠海市側で58元。日本円に換算すると1000円程度で、午前0時から午前5時59分までのあいだは深夜料金として100円程度値上がりします。

 橋の上には非常用以外の信号はなく、原則として駐停車禁止のためノンストップで進みます。一般車両も走っていないので、PR通りに約40分程度で横断することができます。海上を延々と続く道路の眺めは壮観ですが、これだけ大きな道に車があまり走っていないのは不思議な感じもします。

 スムーズに移動できるのは交通機関として優秀ですが、利用者の立場から見ると事態は少し複雑です。

 そもそも香港とマカオは2018年現在、中国の一都市ではありますが、それぞれ香港はイギリスの植民地、マカオはポルトガルの海外領土だったことなどもあり、中国本土との移動にはいまなお出入国の手続きが必要です。香港とマカオ間の移動も同様で、たとえば香港国際空港に到着し、いったん香港へ入国すると、マカオへ移動するには香港の出国手続きとマカオの入国審査が必要になります。マカオと中国本土間、香港と中国本土間もしかりです。

 しかし、香港国際空港内から中国本土やマカオへ向かうフェリーへ乗り継ぐ場合、香港への入国審査と香港からの出国手続きは不要で、マカオあるいは中国本土の入国審査のみで済むのです(香港へは未入国のままフェリーに乗り、中国本土・マカオへ入国したという扱いになる)。このとき飛行機に手荷物を預けていたとしても、多くの航空会社が、乗船するフェリーへ載せ替えてくれるサービスに対応しています(航空会社が対応していない場合、いったん香港へ入国してから受け取ることになる)。

 港珠澳大橋を利用する場合、こうしたフェリーとは少々勝手が違います。

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最終更新:2018/12/28(金) 16:38
乗りものニュース

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