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<盗撮の闇(2)>「金になる映像」 DVD販売、有料配信も 佐賀

2018/12/28(金) 9:36配信

佐賀新聞

 にぎやかな声とともに、服や水着を脱いで浴場に向かう女性や、裸で歩き回る子どもたち。実際に販売されていたDVDを再生すると、生々しい光景が映し出された。映像に出てくる脱衣所と、同じ特徴のロッカーや壁がある温泉施設が、和歌山県内の観光地に実在する。

 「やらせではなく本物の盗撮映像。ここで盗撮が繰り返され、ビデオが売られているなんて知っていたら誰も来ないでしょう」。盗撮の実態を調査してきた全国盗撮犯罪防止ネットワーク(事務局・和歌山県)代表の平松直哉さん(52)は、現地で説明する。

 探偵業を営む平松さんが盗撮ビデオの実態調査に乗り出したのは、2000年末。関係者からの相談を機に、事務所スタッフらと手弁当で続けてきた。「家族や恋人が癒やしの空間である浴場施設で盗撮され、そのビデオが販売されたら、誰でも憤るはず。そんな卑劣な行為が故郷で繰り返されているのは我慢ならない」

▽緩い規制 

 1本数千円~1万円台で売られているビデオを買っては検証し、県内外の温泉施設や銭湯を1カ所ずつ回った。北海道から九州まで約130カ所の現場を突き止め、警察や施設側に対策を促した。盗撮を趣味やなりわいとする「盗撮師」から制作会社が映像を買い取ってビデオを量産する実態も分かった。だが盗撮の規制は緩く、多くが野放しにされてきた。

 和歌山県内にあるビデオ販売店。さまざまな成人向け商品を扱う中、奥の棚に「盗撮もの」のDVDが数百枚単位で並ぶ。風呂やトイレ、試着室といったジャンル別に分類されている。

 独自ルートで商品を仕入れているという店長は「VHSの頃は盗撮ものを買う人は一部だったが、DVDの登場で広く知られるようになった。売れるから作るという循環があった」と話す。「実店舗には警察が入りやすい。こういう商品を置かない店が増えたし、うちの品物もだいぶ減った」

▽10億円販売

 従来のビデオ販売が細る一方、近年はインターネットを介し、盗撮動画が有料でダウンロードされている実態が明るみに出ている。

 東京都の男性会社員は10月、トイレ内の女性の動画をインターネット上に投稿したとして逮捕された。約1年前から、飲食店などのトイレで約300人分の女性を盗撮。映像をサイトに投稿して1万回以上ダウンロードされ、約1千万円の利益を得たとみられる。

 福岡市内のトイレを狙った盗撮動画が出回り、2年前に福岡県警が摘発した事件では、サイト運営者が動画を買い取り、数年間で約10億円を売り上げたとも報じられた。

 盗撮に悪用できるスマートフォンや小型カメラが簡単に手に入り、地域を問わず個人が撮影、配信できる現代。「佐賀でもどこでも、ここは大丈夫という場所はない」。平松さんは警鐘を鳴らす。

最終更新:2018/12/31(月) 16:36
佐賀新聞

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