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“大本命”青学大に挑む 東洋・駒沢の意地と拓大の飛脚走り

2018/12/29(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【スポーツ時々放談】

 正月の茶の間を賑わす箱根駅伝は、今度が第95回の記念大会。例年より多い23チームが初春の国道1号を駆ける。どこに行っても青学大が鉄板の優勝候補――悔しいではないか、そんなのつまらないではないか。

 確かに、青学大は10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝を制し、箱根駅伝の5連覇を2度目の大学駅伝3冠で飾りそうな勢いで、2度目の3冠なら史上初である。前回大会の優勝メンバーが7人いて、梶谷瑠哉、森田歩希、小野田勇次は一昨年からの優勝経験者。出雲の1区区間賞の橋詰大慧、インカレで活躍した吉田祐也、吉田圭太が加わって非の打ちどころはなく、もはや展開の綾しか打開の道はなさそう。

 解説者の碓井哲雄さんは、1区に山梨学院大、日大、拓大、東京国際大、国士舘大がアフリカ留学生を並べ、学連選抜の東大生、近藤秀一も一緒に飛び出すという撹乱戦法をたきつけるが、実際問題として、シード権の欲しいチームにそこまで勝負に出る度胸は期待薄だ。こんなトホホな状況にあえてストーリーをほじくり出すべく、3つのパターンを考えた。

【東洋大の意地】大学生の最終目標は箱根駅伝か。東洋大の酒井俊幸監督は常に箱根の先を学生に説く。2月の東京マラソンで日本記録を16年ぶりに更新した設楽悠太も、福岡国際マラソンで14年ぶりに日本人優勝を遂げた服部勇馬も東洋大OB。前回リオデジャネイロオリンピックのマラソン代表の北島寿典、石川末広も東洋大OBだった。で、東京大会のマラソン代表選考会、MGCファイナル出場選手にいまのところ青学大OBは一人もいない。ゴールをずらせば、既に東洋大は青学大に勝っている。

【駒大の意地】いよいよ箱根一筋という11月下旬、駒大の学長が大八木弘明監督に辞任を勧告し、金銭疑惑があるとまで週刊誌にリークした。学内の派閥争いだが、こんな時期に、トップ自らスキャンダルを流すアホをやらかした。万年予選会のチームを名門に引き上げた指導者や選手に泥を塗る行為。駒大は予選会でチームの10番目が全体の29位という好成績だった。この“激走”は理解なき大学への怒りと意地だ。

【拓大の飛脚走り】対抗馬の最右翼に挙げられるのは東海大だ。出雲3位、全日本2位と自信もつけ、好選手がそろったチャンスを逃すまいとさまざまな工夫を凝らしている。ただ、駅伝ではそうした気負いが危ない。青学大・原晋監督のあおりに揺れる箱根路を飛脚のように、淡々と走るのが拓大だ。実業団のニコニコドーでブームを巻き起こし、亜大ではあっと驚く総合優勝をなし遂げた岡田正裕監督の持ち味は、留学生をキャプテンにする徹底した合理主義。味噌醤油の会社で九州一の売り上げを残した元営業マンが、耳元でささやいた。「いままでで一番の出来です」に3000点!

 箱根駅伝は学生の純粋な努力の戦いだが、ビール会社が協賛ならいろいろな楽しみが許される。ああだこうだと楽しんで最後は健闘に拍手を送ろう。

(武田薫/スポーツライター)

最終更新:2018/12/29(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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