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静岡県内緊急輸送ルート沿い 「耐震診断必要」建物599棟

2018/12/29(土) 10:31配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 南海トラフ巨大地震などの発生時、被災地の迅速な人命救助や物資輸送などに使う「緊急輸送ルート」沿いの建築物について、震災で倒壊して道路をふさぐ恐れがあるとして「耐震診断が必要」とされた物件が静岡県内で599棟あることが、28日までの県の調査で分かった。県は今後、改正耐震改修促進法に基づく耐震診断の義務化や診断結果の公表に向け、各種計画の改定などの準備を進める。

 調査した緊急輸送ルートは東名・新東名高速道路のインターチェンジを起点に、防災上重要な県や市町の庁舎や災害拠点病院、空港など県内65拠点を結ぶ道のり。耐震診断が必要な沿道建築物は同法に基づき、1981年5月以前の旧耐震基準で建設され、道路幅の半分以上の高さかつ6メートル超の建物を対象とした。

 県は調査で判明した沿道建築物の危険性に加えて、耐震化されていない15メートル以上の橋や道路周辺の地滑りなど通行障害を引き起こす可能性を考慮し、従来の緊急輸送ルートの一部を改定。耐震診断が必要とされる建築物はルートの変更によって約4割減少した。

 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の重大事故時などに使用が想定される、原発から半径5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)と半径31キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)内の避難経路も調査した結果、耐震診断が必要な沿道建築物は20棟あった。

 県は今後、南海トラフ地震を想定した県広域受援計画や県耐震改修促進計画を改定し、対象となる建築物の規制強化を図る。



 ■伊東市対象件数 新ルート設定で146→31

 静岡県が今回調査した「緊急輸送ルート」は、従来ルートからの経路変更により、耐震診断が必要な沿道建築物の件数が県内全域で大幅に減少した。中には対象となる物件が8割近く減少した自治体もある。

 市役所に向かうルートが変更になった伊東市もその一つ。従来は同市の中心市街地を横断する形で市役所に至っていた。密集する民家や商店が車道付近にまでせり出し、旅館やホテルなど大型の高層建築物も多い。耐震診断対象は市内計で146棟あった。

 変更したルートは市街地に入る前に伊東競輪場の裏側の峠道に分岐し、市役所脇を走る国道135号に至る。沿道には山林や畑が続いて道幅も広く、対象物件は市内計で31棟に減った。市担当者は「障害物の除去が容易で迅速に通行可能にできる」と説明する。

 ただ、対象物件は減っても、耐震診断すれば基準を満たさない建物が見つかる可能性は高い。市担当者は「将来的に耐震改修が必要になるが、所有者負担も生じる。理解を得るのは簡単ではない」とも指摘する。



 <メモ>改正耐震改修促進法 国の耐震基準が強化された1981年5月以前に建てられた大規模施設に対し、耐震診断の実施と報告を義務付け、所管する地方公共団体が結果を公表するなどの内容。2013年に施行された。倒壊で避難路をふさぐ恐れのある沿道建築物についても、県などが耐震改修促進計画で定めた場合は耐震診断が義務化される。2019年1月からは、避難路沿いで一定規模以上の既存不適格なブロック塀等についても耐震診断を義務付ける。

静岡新聞社

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