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中川淳一郎が振り返る2018年「“ネットなんだから真に受けないでよ”は通用しない 」

2018/12/29(土) 8:33配信

TOKYO HEADLINE WEB

 2018年もいろいろな出来事があった。海外では南北首脳会談、米朝首脳会談と画期的な出来事が続いたが、国内ではモリカケ問題で安倍晋三首相が窮地に立たされながらも、自民党の総裁選で3選を果たすなどどうにもよく分からない状況が続いている。スポーツ界に目を移すと冬季五輪、サッカーW杯とビッグイベントで日本選手が大活躍したものの、国内では各競技で不祥事が相次いだ。そんな2018年を中川淳一郎が振り返る。

「2018年は、完全にネットがリアル社会と結びついた年だと思います」。

 そう語るのは、ウェブメディアの今昔を見続けてきた著述家・ネットニュース編集者の中川淳一郎氏。『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットは基本、クソメディア』などの著書を持ち、ウェブメディアやネットニュースの本質に鋭く切り込んできた第一人者だ。

「ネット上の誹謗中傷が冗談では済まされなくなった。ネット上の活動が怨恨の対象になるなど、ネットとリアルが地続きでつながってしまった」

 それを象徴する事件が、「今年6月に起きた著名ブロガー・Hagex氏の刺殺事件」だと中川氏は口を開く。

「容疑者は、ネット上で「低能先生」と呼ばれていた。被害者である岡本さんは『Hagex』の名前で人気ブログを執筆し、ネット上で誹謗中傷を繰り返す低能先生に対して、“そういう言動はよくない”と批判を書き込み、運営に通報したに過ぎません。しかし、容疑者はHagex氏に恨みを抱き、IT関係セミナーの講師として招かれた岡本さんを刺殺した。私個人も岡本さんと交友があっただけに、とても気持ちが重たくなる事件でした」

“低能先生”の名付け親でもなければ、容疑者と面識があったわけでもない。しかし、ネット上のいざこざがリアル社会に飛び火。場合によっては、流れ弾となる。また、ネット掲示板に「嫁がブス」と書き込んだ相手を特定し、名誉棄損で訴えた横浜DeNAベイスターズ・井納翔一投手の一件も、ネットの誹謗中傷が現実世界と地続きであることを示した範例だろう。

「“ネットなんだから真に受けないでよ”は通用しない。自らのネットでの振る舞いが、そのままリアルに関与することを自覚しなければいけない。ドイツではSNSで誹謗中傷など違法とされる書き込みを行なった場合、24時間以内に削除できなければSNSの運営会社に、最大67億円の罰金が課せられるという法律が制定されています」

 ネットにおける言動が、現実社会に関与することが一般化しつつある現象は、「事件に限った話ではない」と中川氏は続ける。

「ウェブメディアの存在感が極めて高くなったことで、既存メディアも無視できなくなった。特にテレビ局は、これまでウェブメディアを下に見る傾向が強かったが、この一年はネット発のニュースや話題を取り扱うことが慣例になってきた。今年の流行語大賞トップテンにランクされた「(大迫)半端ないって」は、もともとネット上で盛り上がっていた言葉。その発言がロシアW杯で再注目を浴び、テレビで取り上げられ、再度、SNS上などで逆輸入という形で盛り上がったわけです。既存メディアも、ウェブなくしては盛り上がれないことを痛感した年ではないか」

 PRプランナーとしても活動する中川氏によれば、企業のウェブメディアにかける広告費も年々増加しているという。もはやウェブを無視して、何かを発言する、モノを作るということはできないのかもしれない。その上で中川氏は、「ただし……」と言葉を紡ぐ。

「どこもかしこもウェブによる広告や宣伝、発信をし続けた結果、飽和状態に差し掛かりつつある。たしかにウェブの存在感は“既存メディア”に匹敵するほど大きくなった。一方で、数が増えすぎてしまった。当然、今後は淘汰し合う展開が予想される。さらに、数年後は外国人が増え、高齢者が増える世の中になっている。10年ほど前から続いたネット文化のピークが今だと思います。近い将来、ネット上の発言や掲載に対する法律なども生まれるでしょう。新しい元号とともに、ネット文化も新時代に突入すると思いますね」

【中川淳一郎】ネットニュース編集者/PRプランナー1973年東京都生まれ。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。

最終更新:2018/12/29(土) 8:33
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