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再び大型買収のNEC、「受け身の姿勢では先はない」

2018/12/29(土) 11:50配信

ニュースイッチ

デンマーク社を子会社化、強いNECを取り戻せるか

 デンマークのIT最大手のKMDを買収することを決めたNEC。80億デンマーククローネ(約1360億円)を投じ、2019年2月末にKMDを傘下に持つKMDホールディングを完全子会社とする予定。M&A(合併・買収)は中期経営計画に掲げる成長戦略の目玉。今回は1月に買収した英ノースゲート・パブリック・サービス(NPS)に続く第2弾となり、買収規模はNPSのほぼ倍となる。

 KMDは17年12月期の連結売上高が958億4800万円。訴訟案件への引き当てなどにより、営業赤字ながらも構造改革はほぼ一巡。「19年度には黒字転換を見込む」(山品正勝NEC執行役員常務)。従業員は約3000人。

 新野隆社長は28日の会見で「KMDはデンマークのデジタルガバメントを中心にリカーリング(継続的に収益を生み出すモデル)型ビジネスで実績を持つ。NPSとの相乗効果も期待できる」と、M&Aによる成長戦略への手応えを強調する。

 創業119年目の大改革―。新野社長は「最も重要なのは実行力の改革だ。企業文化を抜本的に改革し、強いNECを取り戻す」と語る。白紙に戻して、2020年度までの3カ年中期経営計画も作り直した。

 NECは、まずは成長軌道への回帰に向けた収益構造改革に力を注ぐ。社長自らが全国の拠点を回る対話会を実施。併せて「変革の推進役」として、現場のエース級の人材を約30人選び、新設の「カルチャー変革本部」を司令塔として、7月から変革プロジェクトを本格化させた。

 18年度は国内3000人の人員削減などの構造改革費用で400億円を計上するため、減収減益を見込むが、真水ベースでは反転攻勢を目指している。

 収益構造の改革はワンマネージメントで選択と集中に挑む海外事業に加え、収益の源泉となる国内事業の改革でもアクセルを踏む。通信事業者向けテレコムキャリア事業の改革が目玉。4月に部門(BU)の名称を「ネットワークサービス」に改称し、事業領域を企業や官公庁へと拡大しており、IoT(モノのインターネット)や第5世代通信(5G)などを起点に新規市場を開拓する。

 このほか、国内では生体認証や画像解析の強みを生かして、20年東京五輪・パラリンピックに向けたインフラ整備にも取り組む。さらに食品ロスや廃棄物の解決に向けて、人工知能(AI)を活用した需給最適化プラットフォームを立ち上げる。成長が見込める車載分野ではデンソーや住友電気工業などとの協業を強化する。新野社長は五輪関連などで「国内事業の伸びも期待できる」という。

 海外は生体認証を核とするセーファーシティー事業で成長戦略を描く一方、赤字に陥っている超小型マイクロ波無線通信システム「パソリンク」事業は18年内に黒字化のめどを付ける。今回のM&Aのように非連続の成長も狙っている。

 新野社長は中計に関して「受け身の姿勢では先はない。我々自身が新しい市場を作っていかないといけない。ビジネスモデルを変革し、新しいNECに変わっていく。『今やらないと、いけない』という危機感があった」と経営トップとしての思いを示す。

最終更新:2018/12/29(土) 11:50
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