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ひとつの映画を1年かけて見るVery Slow Movie Player

2018/12/29(土) 16:28配信

TechCrunch Japan

誰かが、Every Frame a Painting(直訳: どのコマも1枚の絵画だ)を字義通りにとらえたのかもしれない。The Very Slow Movie Playerと呼ばれるこのデバイスは、映画を壁紙に換えて、1時間に1回ずつ映像を1秒間、前へ進める。家の中にとてもおもしろいオブジェクトがあることになり、よく知ってる映画ですら、新鮮に感じる(このチャネルはYouTube上の世界最高の映画学校と言われる)。

このアイデアは、デザイナーでエンジニアのBryan Boyerの脳に、われわれ全員がよく知っているあのときに生じた。家でじっと座って、遅いことの良さをうまく表現する方法を考えているときだ。

そのとき彼は「映画を読書のスピードで消費することはできないだろうか?」と考えた、ゆっくりと。「ものごとを極端に遅くしたら、それを正しく鑑賞する余裕ができる。しかしその持続をもっと引き延ばすと、ものごととそれを視る者とコンテキストとの関係が変わり始める。映画を本来のスピードの1/3600のスピードで視たら、それはもはやとても遅い映画ではなくて、朦朧(もうろう)とした時計のようなものになる。でもVery Slow Movie Player(VSMP)で時間や時刻はわからない。ただ、時間のにじみを背景にして自分自身を視るだけだ」。

Very Slow Movie Playerは、eペーパーのディスプレイをRaspberry Piのボードにくっつけたものだ。そこにムービーをロードすると、それを一度1コマずつ表示し、2分30秒経つと画面を次のコマへアップデートする(1時間で24コマ、すなわち映画1秒ぶんとなる)。

通常の、毎秒24コマではなく、毎時間24コマを視ることになる。ふつうの映画の3600倍遅くて、1年に7千~8千時間の絵が作り出されるだろう(2時間の映画なら7200秒、VSMPでは7200秒→7200時間=300日)。

Boyerはプロジェクトを説明するポストで、こう言っている。「あまりにも遅いから、ふつうに映画を鑑賞することはできない。VSMPとにらめっこをしたら、あなたは毎回負けるだろう。それは、気づいたり、ちらっと見たり、調べることすらできるけど、ウォッチすることはできない」。

彼はそれを、Bill Violaの作品と比べている。その超スローモーションのポートレートも、最初から最後までウォッチすることはできない。よほど辛抱強い人でなければ。そしてどちらも、映画(動画)と静止画像の中間に位置する冥界に存在する。

もちろん、画像そのものはもっと良くしてほしい。eペーパーの色深度は本質的に1ビット(黒/白)だ。だから映像の色や階調が表す微妙さはすべて、白か黒かのディザリングへと消えてしまう。

現状では場面のコントラストやゾーンは強調されるが、でも「裏窓」を映画として見たければいつでもできる。しかし、それを一つのプロセスとして、時間との関係として、現実世界と人生のコンテキストの中に存在するオブジェクトや画像として鑑賞したいなら、そのためにVery Slow Movie Playerがある。

(翻訳:iwatan、a.k.a. hiwa)

Devin Coldewey

最終更新:2018/12/29(土) 16:28
TechCrunch Japan

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