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人間の仕事はAIにやってもらおう。最強将棋ソフト「Ponanza」開発者が語る未来のかたち

2018/12/30(日) 10:05配信

BuzzFeed Japan

「神が創った」と言われるボードゲームがある。

9×9マスの盤上で、兵士や兵器に見立てた40枚の駒を用いた戦略ゲーム。「将棋」である。

想定局面は10の220乗。そんな小宇宙で縦横無尽に知略をめぐらせる棋士たちは、人類の叡智の象徴として尊敬を集めてきた。

最強棋士の称号「名人」誕生から400年。悠久の歴史を刻んできた将棋界に、試練の時が訪れた。

2013年3月、人類とコンピュータの将棋対決「電王戦」。現役のプロ棋士が、史上初めてコンピュータに敗れた。

コンピュータの名は「Ponanza(ポナンザ)」。のちに佐藤天彦名人を破り、史上最強と讃えられた将棋AIだ。

「この国の情報科学としては偉大な一歩だと思っています」

対局後にこう語ったのは、山本一成。ポナンザを生み出した若きプログラマーだった。

歴史的対局から5年、32歳になった山本は、はにかみながら語る。

「私は、人類をやっつけようと思ってポナンザをつくったわけじゃないんです」
【吉川慧 / BuzzFeed Japan】

大学生活は、将棋+麻雀+ダンスダンスレボリューション=留年

山本が将棋と出会ったのは小学校高学年の頃だった。中学・高校でも将棋部に所属。学校の成績は「真ん中ぐらい」だったという。

大学受験では東京大学を志望。一浪の末、理科一類に合格を果たした。

「東大に行こうと思ったのは雑な理由です。当時は漫画『DEATH NOTE』『ドラゴン桜』が流行っていた。だから、『東大に行ったら、すごそうだな』と思った程度。特別な思いがあったわけじゃないんです(笑)」

山本は自分の人生を「“手なり”で生きてきた」と、自嘲気味に語る。

「手なり」。麻雀用語で「役作りを考慮せず、効率重視でアガリを目指すこと」だ。

流れに身を任せて、なんとなく生きてきた。目的もなく入った東大では将棋部に入った。激しい運動は苦手。「できることが将棋ぐらいしかなかった」という理由だった。

当時の東大将棋部は、強豪ぞろい。大会では優勝の常連だった。山本も個人戦で関東学生準名人になった。ただ、団体戦ではレギュラー入りできるかどうか。それだけ層が厚い世代だった。

「自分で話すのも悲しいけど、なんとなく将棋ができたから続けただけ。中途半端に上手だったから、壁にぶつかって自分を見つめ直すこともなかった」

「29連勝を記録した藤井聡太七段は、たくさん詰将棋を解いたり、自分でも作ったりしている。でも、私はそういうことを全くしなかった。結局全てが、“なんとなく”だった」

昼は将棋、夜は麻雀、合間にダンスゲーム「ダンスダンスレボリューション(DDR)」で遊ぶ毎日。

「毎日が忙しかったし、楽しかったですよ。でも、そんなことばかりやっていると人は留年するんですよ(笑)」

さすがに反省した。山本は、当時をふり返る。

「『楽しいこと』と『自分の意志で真剣にやりたいこと』が一致していなかった。将棋も、麻雀も、DDRも、とりあえず楽しいからやっていただけ。どこにも向かってなかった」

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最終更新:2018/12/30(日) 15:06
BuzzFeed Japan

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